女のいない男たち の感想

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参照データ

タイトル女のいない男たち
発売日2014-04-18
製作者村上 春樹
販売元文藝春秋
JANコード9784163900742
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

表題作「女のいない男たち」ではこんなふうに定義されている。
「女のいない男たちになるのはとても簡単なことだ。一人の女性を深く愛し、それから彼女がどこかに去ってしまえばいいのだ」

つまりぶっちゃけて言えば、本作は「恋人や妻から捨てられ裏切られた男たち」を描いた短編集であり、彼らのこころの傷をいろんな角度から照らした「失恋ソングブック」である。(けっして彼女いない歴=年齢の男たちを描いた作品ではないので、要注意)

「ドライブ・マイ・カー」は、浮気の理由を妻の生前に確かめられず悩む男の話。男は運転手として若い女性を雇っているのだが、口数少ない彼女がもらす一言一言が、少しずつ確実に男を救っていく過程がよかった。

「イエスタデイ」は、なんといっても関西弁でビートルズを歌う木樽が魅力的。陽気で誠実な木樽は、恋人に「僕」をあてがってまでして彼女を近くに引きとめようとするけれど、結局浮気されてしまう。志は高いが、行動様式は喜劇的、そして結末は悲劇的――というドン・キホーテ的(アメリカ文学的)筋立ての作品といえる。恋人に浮気された木樽より、第三者の「僕」の方が傷ついているように見えるのが面白い。

「独立器官」は、つかず離れずの気軽な関係でさんざん女遊びをしてきた整形外科医が、中年にして初めて真剣な恋に落ち、失恋し、そしてその痛手で餓死してしまうという話。人間の類型化を前置きにおいてストーリーに入っていく感じなど、フィッツジェラルドの「リッチ・ボーイ」を連想した。

「シェエラザード」は本作のなかで一番際立った設定をもつ作品だ。登場人物は「ハウス」と呼ばれる一室に送り込まれ、そこで外界との交渉を断って待機する男と、彼の世話(食事の世話と性欲処理の世話)を受け持つ「連絡係」の女性。彼女が男に話して聞かせる魅力的なピロートークを軸に、ストーリーが進んでいく。主人公は女性が去るとともに物語のつづきが聴けなくなることを恐れている。

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文藝春秋から発売された村上 春樹の女のいない男たち(JAN:9784163900742)の感想と評価
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