皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則 の感想

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参照データ

タイトル皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則
発売日販売日未定
製作者ロジャー ペンローズ
販売元みすず書房
JANコード9784622040965
カテゴリ » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物

購入者の感想

 原著は1989年。著者は世界的に有名な物理学者。
 曰く・・・
 ペンローズの提唱するツィスターとは、時空の根底にある高次元の複素空間である抽象的な数学的対象のこと。
 カルダーノが複素数を導入したとき、そこから現われてくるであろう多くの魔術的な性質について少しも気づいていなかった。数学者が彼ら自身の成果に出会うとき、彼らは現実的な実在性のない、精巧な心的構成物を創り出しているにすぎないが、数学者はすでに事実「そこに」存在している真理、数学者の活動とはまったく無関係に存在している真理を暴き出しているのだろう。
 マンデルブロ集合は人間の心の発明ではない。それは発見である。マンデルブロ集合はエヴェレストのようにただそこに存在する。
 われわれの心は、アルゴリズムというよりも、われわれの住んでいる世界を現実に支配している物理法則のある奇妙な驚くべき特徴に由来する性質であろう。
 不確定な未来などない、時空の全体は確定しているはず、というのがアインシュタインの結論だったらしい。時間の流れというものもない。時空があるだけ。決定された過去によって容赦なく領域を浸食されつつある未来の存在する余地はない、という考え方。
 過去における低エントロピー状態は謎である。何がわれわれの世界のエントロピーを過去にそのように低く抑えたのか。驚くべき事実だが、われわれにとってあまりにもありふれてなじみ深いので、われわれはそれを驚くべきものと見なさない傾向がある。驚くべきは、エントロピーが高くなっていくことではなく、過去を深く探れば探るほど、エントロピーはますますバカらしいほど小さくなることである。
 思考は、言語で具体化されるときに死滅する(ショーペンハウエル)。
 私(ペンローズ)の数学的思考は、ほとんどすべて視覚的に、そして非言語的概念を用いてなされている。思想家が彼らの思考を言葉に翻訳する際に感じる困難は、私(ペンローズ)もしばしば経験している。必要な概念を表現するのに利用できる言葉がないというのが多くの場合、その理由である。数学にしばらく集中しているときに誰かに突然話しかけられても、数秒間、ほとんど話ができない、ということもしばしば体験している。

数ある人工知能の理論書の中でも、人間の精神の働きは直接アルゴリズムに 置き換えられないということを、初歩的な説明から高度な理論までおりまぜて詳しく解説 しています。著者のユーモア精神と明晰な解説により、難しい話を読み進むことが出来ます。AI論でプラトンのイデアに言及しているのは見事としかいいようがない。プロローグとエピローグにまたがって小話が一話のっていて、そのお話には人間と機械に対してたくさん意味が含まれており、私はすっかりとりこになってしまいました。

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