戦時期日本の精神史―1931‐1945年 (岩波現代文庫) の感想
140 人が閲覧しました
参照データ
タイトル | 戦時期日本の精神史―1931‐1945年 (岩波現代文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 鶴見 俊輔 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784006000509 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門 |
購入者の感想
とてもコンパクトな本でありながら、扱う内容は「鎖国」「国体」「大アジア」「玉砕の思想」「原爆」などと多岐にわたる。語り口調の文章は平易であるが、しかし沢山の人物や文献を扱うことによる視野の広さや柔軟性により、そこいらの教科書的戦争の歴史本とは一線を画す。
そのなかで一番の注目はやはり「転向」「非転向」の章であろう。佐野学のように反国体団体の指導者でありながら戦争反対の立場を翻して戦争協力の意思表示をした者、宗教者である明石順三のように獄中に入れられようが意思を曲げずに戦争反対を貫いた者。その当時の社会的背景や彼らの生い立ちを重ねて捉えると、それら正反対の行動から一体何を学び、得とくすることができるのか。
転向現象をただの「裏切りによる悪」とするのではなく、
「まちがいのなかに含まれている真実のほうが、真実のなかに含まれている真実よりわれわれにとって大切だと考える」
この文章は頭にとどめておくべき名文であろう。
そのなかで一番の注目はやはり「転向」「非転向」の章であろう。佐野学のように反国体団体の指導者でありながら戦争反対の立場を翻して戦争協力の意思表示をした者、宗教者である明石順三のように獄中に入れられようが意思を曲げずに戦争反対を貫いた者。その当時の社会的背景や彼らの生い立ちを重ねて捉えると、それら正反対の行動から一体何を学び、得とくすることができるのか。
転向現象をただの「裏切りによる悪」とするのではなく、
「まちがいのなかに含まれている真実のほうが、真実のなかに含まれている真実よりわれわれにとって大切だと考える」
この文章は頭にとどめておくべき名文であろう。