基本から学ぶ地方財政 の感想

181 人が閲覧しました

今年4月の人事異動で9年ぶりに財政課に配属されました。
地方交付税について復習するため本書を購入しましたが、以前、財政課にいたときには理解できていなかった
地方財政計画の仕組みをマクロとミクロの双方で学ぶことができました。
往復の通勤電車の中で通読しましたが、理解を深めるため2回目の通読にとりかかります。
仕事の前後に堅苦しい本を読むのを敬遠していましたが、本書は著者が自分に語りかけてくれているような文調
で書かれており、大学の講義を聞いているようで全く苦になりません。
財政初心者の方は元より、経験者の方にもおすすめの一冊です。

（買う前に絶対知っておきたい本書の概要）
●本書は、財務4表や、自治体間比較のレーダーチャートを読む方法や、ポイントが書いてあるような「シンクタンクや自治体職員である実務家が、3〜4日でレポートを書いたりする時に使える」本ではありません。
●むしろ、大学の授業でしか聞けないような、財務4表に現れないエッセンシャルな考え方が書いてある本です。その他大勢の他の人間に差をつけ、その分野の専門家としての洞察力、素養、専門的な議論の下地を作りたいときに読むといいと思います。

――以下詳論――

（本書の特色）
●「この制度はこうなっているが、それは財務省が〜したかったという背景がある」とか、「自治体のプライマリーバランスを国のプライマリーバランスと切り離してみるのはナンセンス。なぜなら〜」とか、単なる技術本には絶対に書いていない文章が、全体の75％を占めるといって過言でない。
●その分、「即時実用」「財務諸表と併読してすぐにアウトプットが出せる」というような代物ではない。

（おススメの使い方・他の本との関係、使い分け）
●短時間（一週間弱やそこら）でアウトプットを出したいなら別の本を買いましょう。私も、ほとんど知識がないところから2日で道内自治体の財政に関するレポートを書かなければならなくなった時には、別の本（図解 自治体財政はやわかり）を使いました。自治体の財務諸表から最低限読み取らなければならない基本的な内容が簡潔にまとめられている「即効性の高い」本は他にいくらでもあります。私のレポートのリバイスを後輩に引き継いで、自分が転勤してしまうとしたら、私は、別のもっと即効性の高い本を渡します。