ルポ・罪と更生 の感想

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裁判員裁判の効果や問題点、事例、刑務所のこと、高齢受刑者のこと、少年院のこと、死刑のこと、これらを記した一般向けの書籍はたくさんあります。
この本でも、もう一度それにふれて、学び直すことができます。

そんな中で、犯罪・非行をした者が刑務所や少年院から出た後にどうなっているのか、そして、その人達に携わる「更生保護」とは何なのか？に関する書籍は、刑事政策に関連する専門書が数冊あるくらいで、一般書に至っては、ないに等しいというべき状態でした。

この本を読めば、犯罪加害当事者やその家族に対して、伴走し、指導し、援助しながら、時には優しく、時には厳しく、辛抱強くつきあいながら、社会で生きていけるようにしていく「更生保護」という仕事に携わる人々のことを、どんな本よりもよく知ることができるでしょう。

学術書や、法務省が発行するパンフレットにはまったく書かれていない、そして「社会を明るくする運動」ではまったく知ることのできない、むき出しの現実がここにあります。

更生とは、非常に難しいものです。
この本には、再犯をする人、それを防げなかったと無力感を覚える人が、これでもかこれでもかとたくさんでてきます。

しかし、保護司をはじめとする関係者の懸命の努力と、加害当事者やその家族の思いに、彼らの将来や、日本の安全な将来というものについて、一筋の光明が見えてくる、そんな本です。