編集者の仕事―本の魂は細部に宿る (新潮新書) の感想

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参照データ

タイトル編集者の仕事―本の魂は細部に宿る (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者柴田 光滋
販売元新潮社
JANコード9784106103711
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 本・図書館 » 本・書誌学

購入者の感想

本の各部分の名称や、奥付が奇数ページにある理由、等々……
編集というより「制作」の本かもしれない。それも、当事者や読書家以外には「雑学」の部類だろう。

DTPの普及で、最近は、組版の基本を知らないオペレータが増えた。
そのため最終ページを奥付にしたり、
本扉裏から本文が始まる本も生まれるようになった。
またカギカッコと句読点が連続するところなどは、
ソフト任せだと強引に詰めたり、逆にあけたり……と言うことも起こる。
ここは組み版を知っている人が手作業で直さなければならない。

本書は、「愛書家」のための「トリビア」満載の本だとも言える。
私も出版に多少は関わっているので、うなずける点は多い。
しかし……
「編集の仕事」
は、そういう「細部」を美しく仕上げることだけだろうか。
私は細部は、もちろん大事だと思う。前述したように、本来の組版の基本からは
逸脱してしまっては「美しい本」はできない。

「ああ、この本、何とも言えず、いい本だなあ」

それは、著者のいう「細部」を緻密に仕上げることからも生まれる。
だが「編集の仕事」にあえて序列をつけるなら、

著者とのやりとり
企画力
わかりやすく感動する文章の書き方

……といったことが、まずあり、「細部」はその次か、あるいは、
「言わずもがな」であるべきだと思う。

電子書籍の時代にあえてこういう本を出したのは、著者の強い意思表示だろうが、
時代は変わる。
受け入れるべきものは受け入れ、あってはならないものは拒否する――
そういうふうに、柔軟に細部にこだわる編集者こそ、
優れた企画力を持ち、著者との交渉もうまい。

フォントや細部に「しか」目をやらない編集者は、
編集者が最も守るべき「企画力」「文章力」などに目が行かない。

私見だが、私は両方大事だと思うのだ。
したがって、良書ではあるがあえて★を1つ減らした。

 著者は40年に渡って新潮社で書籍の編集に携わった人物。自らの経験をもとに、一冊の本を作り上げるまでの、読者が気づかない細分に至る工夫について綴った新書です。

 新潮文庫だけが他者の文庫と異なり天(上部)がきれいにカットされていないのはなぜかと子どもの頃から疑問に思っていました。本書によればそれは他社が短冊状の紙栞を本の間に差し挟んでいるのに対して新潮文庫はスピン(ひもの栞)をつけているためだとか。
 天まで機械で裁断してしまうとこのスピンが切れてしまうからです。なるほど。

 また新書は地(頁の下部)に親指がかかる余白を生むために、1行の文字数を少し減らす工夫を施しているのだそうです。これは通勤電車内で吊革につかまったサラリーマンが片手で持ちながら読書することを想定した心憎い配慮です。

 文学全集を出すときに編集者は配本順に頭を悩ますという話も興味深く読みました。
 配本順が後の巻ほど部数が減っていくので作家の印税収入を大きく左右します。作家によっては自作品が文学全集に納められる条件に早めの配本を指定してくるそうです。
 
 こうした本の編集にまつわる雑学ネタが満載です。

 ただし一般読者にはそこまで専門的な話をするならばもう少し分かりやすくする工夫がほしかったと思われる点もあります。
 例えば、本のジャケットカバーの配色に触れた箇所などは、色見本などカラー写真が提示されるわけでもなくお話が進むので、理解が進みませんでした。

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