財政金融政策の成功と失敗―激動する日本経済 の感想
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参照データ
タイトル | 財政金融政策の成功と失敗―激動する日本経済 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 黒田 東彦 |
販売元 | 日本評論社 |
JANコード | 9784535554498 |
カテゴリ | 経済学・経済事情 » 各国経済事情 » 日本 » 一般 |
購入者の感想
黒田新日銀総裁が、金融緩和の必要性を一貫して述べている。この点ブレがない。同じ財務官出身の榊原英資氏が円高論者である点(そういう趣旨の本を実際に出版されている)との明確な違いをこの目で確かめることが出来た。
大蔵-財務省で財政・金融政策形成に30余年関わってきた著者がその経験を時代順に10のエピソードに分けて各々分析しており、財政・金融・通貨各政策の役割分担・働き・効果を学習するにも最適です。
この本から得られる教訓は次のようになるでしょう。(1) 財政・金融・通貨の3政策は複雑に絡み合っており、政策主体同士協調することが必要(2)景気回復を志向する場合、財政政策のように債務累積を招かず、機動的に働ける点で金融政策が重要となる(3)金融政策実施にあたっては経済主体のインフレ・デフレ期待への働きかけが必須のため、積極的・先読みをする舵取りが求められる。以上のような教訓を導く著者が、’90年代後半、デフレが深刻化する中で消極的な取り組みしかしない日銀への点が辛くなるのは当然と言えるでしょう。財務省高官であったという立場からではなく、財政・金融政策が担うべき役割の分担や中立的な識者の意見に沿って批判している点、信頼が置けます。特に前記(2) (3)は、バーナンキ現FRB理事長の(a)最後の貸し手としての中央銀行の責任(b)その責任遂行のため市場とのコミュニケーションを最大限行うという予てからの主張(「リフレと金融政策」日本経済新聞社を参照)と対応しますが、著者がそれらの知見を武器に「これ以上打つ手がない」と渋る日銀系エコノミストを批判する点、立場のあべこべ感を強くしました。
現在、利上げを巡る日銀のドタバタぶりが話題になっています。我々にできることは金融政策を絶えずウォッチングすることであり、その際役立つのが本書から得られる知見だと思うのです。0
この本から得られる教訓は次のようになるでしょう。(1) 財政・金融・通貨の3政策は複雑に絡み合っており、政策主体同士協調することが必要(2)景気回復を志向する場合、財政政策のように債務累積を招かず、機動的に働ける点で金融政策が重要となる(3)金融政策実施にあたっては経済主体のインフレ・デフレ期待への働きかけが必須のため、積極的・先読みをする舵取りが求められる。以上のような教訓を導く著者が、’90年代後半、デフレが深刻化する中で消極的な取り組みしかしない日銀への点が辛くなるのは当然と言えるでしょう。財務省高官であったという立場からではなく、財政・金融政策が担うべき役割の分担や中立的な識者の意見に沿って批判している点、信頼が置けます。特に前記(2) (3)は、バーナンキ現FRB理事長の(a)最後の貸し手としての中央銀行の責任(b)その責任遂行のため市場とのコミュニケーションを最大限行うという予てからの主張(「リフレと金融政策」日本経済新聞社を参照)と対応しますが、著者がそれらの知見を武器に「これ以上打つ手がない」と渋る日銀系エコノミストを批判する点、立場のあべこべ感を強くしました。
現在、利上げを巡る日銀のドタバタぶりが話題になっています。我々にできることは金融政策を絶えずウォッチングすることであり、その際役立つのが本書から得られる知見だと思うのです。0