統計的信号処理 -信号・ノイズ・推定を理解する- の感想

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各章10ページ前後で(5章だけ20ページですが)コンパクトです．
コンパクトだと，まとめすぎてわかりづらいと言うことがよくありますが
この本に関してはそんなことはありません．
短くするために証明を演習に回している部分はありますが，
とてもわかりやすく進みます．
本文ですが，最初の2章は確率統計の復習から入りわかりづらさを
解消させようという念の入れようです．
次の3章が推定と最尤度法や最小二乗法という基本的な
道具立てを使い方を含めて説明しています．
6章はセンサアレイやアンテナアレイからの到来方向推定や
信号データからの周波数推定で用いるMUSIC法の考え方を説明しています．
7章がベイズの定理の説明で次の3章が具体的な問題に応用するための
道具立てとしての，ベイズ線形正規モデル，EMアルゴリズム，カルマンフィルタ
の説明になっています．EMアルゴリズムやカルマンフィルタも
ベイズの定理と関係していておもしろいです．

扱っているのは線形離散モデルで、
観測結果から原因を推定する単なる逆問題です。
前半は最尤推定（線形最小二乗法）が、後半はベイズ推定が説明されています。
最終的には最尤推定がベイズ推定に含まれてしまいます。
式の詳しい導出は章末問題になっており、
その詳しい解説が巻末にまとめられています。
分量も少なく、とてもコンパクトにまとまっており、テンポよく読めます。0