The Great Stagnation: How America Ate All the Low-Hanging Fruit of Modern History, Got Sick, and Will(Eventually) Feel Better の感想

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公共財のためになされていた技術促進が今では私的財のために為されている、というのが本書の主張。パソコンその他の機械が労働者を不要にしてきている、という学界で流行の議論を受けて著したと思わる。

過去300年の間アメリカは繁栄を誇ってきた。それには、3つの要因があった。（原住民から奪った）自由な土地、技術の大躍進、賢いけれど教育機関に通ったことのない子どもたち･･･これらのかつて未開拓の領域はあらかた耕され尽くしてしまった。中位所得者の収入は70年代から伸び悩んでいる一方、最高レベルの金持ちの水準は高くなっている。この事実はイノベーションの性質の変化がもたらしたという。アイデアの数が増えてはいるけれど、大多数のアメリカ人の生活には直接関わらないようなものではないかと。

医療や教育機関の生産性は伸びておらず、最後の頼みの綱はインターネットだけ。限られたパイの中で政治の駆け引きが激化する、そんなアメリカの姿が伝わる。「中位所得者の収入を見る」という方法論は特徴的！

これほど内容（および英語）がわかりやすい本だと、経済学の知識がお粗末な人が邦訳を担当する可能性がある。誤読や他の用語と整合性のない訳に出遭う可能性を避けるために、原著で読むのがオススメ。