生き延びるための思想 新版 (岩波現代文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 生き延びるための思想 新版 (岩波現代文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 上野 千鶴子 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784006002701 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般 |
購入者の感想
内容を要領よく網羅したレビューはできないが、さわりに触れつつ感想を述べてみたい。
1章の1「市民権とジェンダー」:「市民権」という用語の検討と確定から始まる。
私は今まで「人権」とは中性的(ジェンダーレス)な概念だと思っていたが、フランスの「人権宣言」
における宣言当時の「人権」とは「男性市民」の「人権」であり「市民権」であったことを本書を読んで初めて知った。
「人」=「男にしてかつ市民である者」に限定された権利であり、
女性、旧体制の既得権者、労働者階級はここでいう「人=市民」からは除外されていた、ということだ。
現在、「市民権」は国家や自治体のような統治の共同体との契約関係で得られるのに対し、
「人権」は「天賦人権」「自然権」のように人為的な契約によらない前国家的な自然の権利、人が生まれながらに持っており、
したがってなんぴとたりとも奪うことのできない権利、として理念化され、両者は差異化されて用語も使い分けがされている。
私はふたつの用語を漠然と同一のものだと思い込んでとらえていた。
法学部出身者としては、つかみが法律用語概念からだったので入りやすかった。
付箋を貼りつつ、線をひきつつ何とか読みきった。
内容については自分の中でまだ整理検討ができていないが、
もっと早くに読んでおきたかった、と読み進めていく過程で思った。
「生命より大切な価値などない」私もこれは当然だと思っているが、
今(すぐにではなくとも、今後数年間)、国家が「生命よりも大切な価値(大儀)」のために
「(自分の)命を捨てよ、人(敵)を殺せ、人(兵士)を増やせ(生め)」という体制を巧妙かつ狡猾に国民に要求し続けたとき、
国民(特権的な権力者を除いた他全ての者たち)に逃げられる自由と権利はあるのだろうか?
と考えて、息が詰まって腹の底から冷えた。
逃げられなかったことはかつての歴史が証明しているのではないかと思ってしまった。
1章の1「市民権とジェンダー」:「市民権」という用語の検討と確定から始まる。
私は今まで「人権」とは中性的(ジェンダーレス)な概念だと思っていたが、フランスの「人権宣言」
における宣言当時の「人権」とは「男性市民」の「人権」であり「市民権」であったことを本書を読んで初めて知った。
「人」=「男にしてかつ市民である者」に限定された権利であり、
女性、旧体制の既得権者、労働者階級はここでいう「人=市民」からは除外されていた、ということだ。
現在、「市民権」は国家や自治体のような統治の共同体との契約関係で得られるのに対し、
「人権」は「天賦人権」「自然権」のように人為的な契約によらない前国家的な自然の権利、人が生まれながらに持っており、
したがってなんぴとたりとも奪うことのできない権利、として理念化され、両者は差異化されて用語も使い分けがされている。
私はふたつの用語を漠然と同一のものだと思い込んでとらえていた。
法学部出身者としては、つかみが法律用語概念からだったので入りやすかった。
付箋を貼りつつ、線をひきつつ何とか読みきった。
内容については自分の中でまだ整理検討ができていないが、
もっと早くに読んでおきたかった、と読み進めていく過程で思った。
「生命より大切な価値などない」私もこれは当然だと思っているが、
今(すぐにではなくとも、今後数年間)、国家が「生命よりも大切な価値(大儀)」のために
「(自分の)命を捨てよ、人(敵)を殺せ、人(兵士)を増やせ(生め)」という体制を巧妙かつ狡猾に国民に要求し続けたとき、
国民(特権的な権力者を除いた他全ての者たち)に逃げられる自由と権利はあるのだろうか?
と考えて、息が詰まって腹の底から冷えた。
逃げられなかったことはかつての歴史が証明しているのではないかと思ってしまった。