佐藤一斎『重職心得箇条』を読む の感想

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タイトル佐藤一斎『重職心得箇条』を読む
発売日販売日未定
製作者安岡 正篤
販売元致知出版社
JANコード9784884743604
カテゴリ哲学・思想 » 東洋思想 » 日本 » 一般

購入者の感想

小さい頃は、本の内容の事を良く話してくれた大人の人がたくさんいたような記憶があります。大らかでも筋が通っていた大人の人が多かった気がします。役にすがってみっともない姿を見せない様に大人がしっかりしなければと思わせる本です。

安岡正篤先生による佐藤一斎の『重職心得箇条』の講義本です。
昭和54年に住友生命の支社長に対して行われた講義の筆録だそうです。
『重職心得箇条』は佐藤一斎が藩の重職達の為に書いた十七か条の心得で
講談社学術文庫版『言志四録(二)』にも収録されていますが、
こちらには現代語訳はついていません。
私は古文が苦手なので、安岡先生の全文口語対訳の付いたこの本はありがたいです。

佐藤一斎は本当に多くの幕末の志士達に影響を与えた陽明学者で、
この本でも逸話として、
吉田松陰などの師としても有名な佐久間象山と財政再建で高名な山田方谷が
佐藤一斎の塾の寄宿舎で毎晩議論をしていた逸話なども出てきます。

さて、この重職が心得るべき事としての十七箇条を読むと
あらためて佐藤一斎の素晴らしさが分かります。

例えば八条では、
重職たるものは「勤向繁多=仕事が多い、忙しい」などと言うのは恥ずべき事で、
部下に権限委譲し自分は心に余裕がなければ大事に手抜かりが出る。
また、十四条では政事というのは何事も自然に現れたままで行くのを実政といい
役人が仕組むような事は虚政である。通常の仕事は簡易にして手数を省くことが肝要だ。
と述べています。
非常に実質的合理的です。

十二条、大臣たるもの胸中に定見を持ちそれを貫き通すのは当然の事だが、
公平に人の意見に耳を傾け、心を虚しくして、正しければ一転変化できなければならない。
また、二条では、部下を用いるのに私心を捨てて公平に
「平生嫌いな人を能く用いると言う事こそ手際なり」と説き、
自分に気の合う部下ばかりを取り立てるのは
(料理に喩えると)「水へ水をさす類にて」 調理にならない、と
懐の広さや無私、公明正大さが重要であると説かれています。

この本はとても読みやすく、ポケットに入る厚さですので
是非、皆さん(これから将来、重職に付く若い方も)、読んで見て下さい。

この本の構成は、前半が安岡正篤氏の講演録、後半が原文と口語訳となっています。新書版96ページの冊子で、難解な個所もありませんから、簡単に読めます。さっと読んで、その後、折に触れて何回も読む本だと思います。
私は「自案と云うもの無しに、先づ例格より入るは、当今役人の通病なり」という部分に自省を促されました。(ちなみに私は安岡正篤氏のファンではありません。)
それから、星が5つではない理由は、原文に「ふりがな」がないからです。0

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