現代イタリア文法 の感想

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日本におけるイタリア語研究の草分けというべき坂本鉄男氏の労作です。この一冊でイタリア語の文法は困らない（と思います）。ただ、ボリュームがかなりある本なので、初心者がこれを最初から読んでも挫折する可能性が高いと思います。あくまでも「文法でわからないことがあるときに調べる本」として使うのが無難だと思います。

私は、イタリア語攻略の手順として、まず京藤好男著『文法から学べるイタリア語』を学習し、次に興松明著『現代イタリア語入門講座』を学習し、そこまで済んだらビアンカ・ピッツォルノ作／長野徹訳『ポリッセーナの冒険』を原書と対訳にして読めと、みなさんにお勧めしているのですが、『ポリッセーナ』段階まで達した人は、本書を座右に備え、通読はしなくてもいいから、「わからないことがあったときに参照する本」にしておくとよいと思います。

本当は、もっと若い世代の先生の手になる、本書と同じレベルのイタリア語文法書が新たに書かれ、2010年代にふさわしい標準的参考書として普及するなら、それに越したことはないのですが、ないものは、しかたがない。

現時点でイタリア語の文法について最もまとまった作品が本書であるとおもいます。イタリア語に末永く付き合う人、翻訳を志す人には必須の本であると思います。
文法をはじめからまなぶにはむしろステップごとに解説してある入門書から入るべきであると思いますが、一通りの初級文法、中級文法をおえたひとはこの本を手元に置いて参照するのがいいでしょう。