アメリカン・マスターピース 古典篇 (柴田元幸翻訳叢書) の感想

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タイトルアメリカン・マスターピース 古典篇 (柴田元幸翻訳叢書)
発売日販売日未定
販売元スイッチパブリッシング
JANコード9784884184339
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

アメリカ文学の短編小説の中から名作中の名作を集めて、古典編・準古典編・現代編の3冊にまとめる企画がスタートしました。この興味深い企画の編集と翻訳が柴田元幸氏となれば見逃すわけにはいきません。

この古典編には8人の名手の作品が並んでいます。ホーソン(ウェイクフィールド)、ポー(モルグ街の殺人)、メルヴィル(書写人パートルピー)、ディキンソン(詩6編)、トウェイン(ジム・スマイリーと彼の跳び蛙)、ジェームス(本物)、ヘンリー(賢者の贈り物)、ロンドン(火をおこす)。これらの作品が発表されたのは1835年から1908年までですがマーク・トウェインの前までは内容も文体も古めかしく、イギリス文学の影響下にあったことがわかります。しかし、南北戦争後に発表されたマーク・トウェインからO・ヘンリー、ジャック・ロンドンと読み進めてくると飾り気のない口語調の「アメリカ的」な色彩が次第に濃くなっていることに気づき、アメリカ文学の歩みを示すのが柴田氏の狙いだったとわかります。

率直に言って、各作品の面白さでの満足度はいささか落ちますが、時代の香りや作家の個性に触れ、アメリカ文学を俯瞰できたという点では読む価値があったと思います。注目したのは作品ごとに柴田氏の訳文の言葉遣いや文体が変化していることです。今年7月、下北沢で行われた盛田隆二氏との対談において柴田氏は「ぼくは自分を透明にして訳します」と語っておられた言葉そのままの、見事な翻訳だったことに少し感動しました。「あとがき」の各作家についてのていねいな解説は読み応えがありました。次の「準古典偏」はフォークナー、フィッジェラルド、ヘミングウェイ、オコナー…だとか。楽しみです。

表紙カバーに20世紀アメリカを代表する画家エドワード・ホッパーの「2灯式灯台」(1929年)が使用されています。実は、この本を買った一番の理由は、私の大好きなホッパーが表紙にあったからです。こう書くと柴田先生に失礼になるかもしれませんね。

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