戦後責任 アジアのまなざしに応えて の感想

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タイトル戦後責任 アジアのまなざしに応えて
発売日販売日未定
製作者内海 愛子
販売元岩波書店
JANコード9784000258548
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

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先の大戦における日本軍の犯罪は東京裁判において断罪された。しかし、それに含まれなかった犯罪、あるいはその後明らかになった事実に関する補償問題の多くがいまだに解決をみていない。たとえば、中国、朝鮮人のBC戦犯の問題、中国人強制連行、サハリン残留朝鮮人問題、シベリア抑留朝鮮人問題、従軍慰安婦問題、などであり、総称して「戦後責任」と呼ばれる。

本書は、雑誌「世界」での連続討論を基に、この分野で市民運動を長年にわたって展開されてきた3氏に「それでも日本人は『戦争』を選んだ」で著名な東大教授・加藤陽子氏が司会として加わった座談会の記録である。
日本政府は、従来からサンフランシスコ平和条約、日韓請求権協定、日中共同声明などで補償問題は「解決済み」としてきた。しかし、中国、韓国政府は、当初こそ日本に同調していたが、その後徐々に日本政府に何らの行動を求めるようになり、21世紀になってさらに要求が強まっている。この戦後責任が日中、日韓の摩擦の原因のひとつになっている。世界的な人権意識の高まりを考慮するなら、いまやこの問題を避けては通れないところまできている。

私の知らなかった事実が多く語られている。たとえば次のような事柄である。
・東京裁判には中国、フィリピンは検事を出せたが、他のアジア国家は旧宗主国が出たため彼らの国の捕虜の扱いに焦点が絞られた。そのためアジア各国の民間人の戦争被害がほとんど扱われなかった。
・サンフランシスコ平和条約によれば中国人BC級戦犯は刑の執行から除かれるはずであったが、実際は執行された。
・強制連行された4万人の中国人労務者の17%が死亡したが、これは日本兵のシベリア抑留の死亡率10%の2倍近い。いかに中国労働者に対して過酷な扱いがされたかがわかる。花岡事件はその虐待に耐えかねての暴動であった。
・日本兵として戦って死亡、負傷した中国人、朝鮮人には補償も恩給も支給されていない。
・サンフランシスコ平和条約には国籍条項がない。200万人の在日朝鮮人はこれまでの日本国籍が奪われて無国籍にされ、帰化するか帰国するかを迫られたのである。

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