工学部ヒラノ助教授の敗戦 日本のソフトウエアはなぜ敗れたのか の感想
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参照データ
タイトル | 工学部ヒラノ助教授の敗戦 日本のソフトウエアはなぜ敗れたのか |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 今野浩 |
販売元 | 青土社 |
JANコード | 9784791766888 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物 |
購入者の感想
かつて東京教育大学は「発展的解消」の名分の下に筑波大学へと改編された。本書は、その新設草創期における情報学類内部の熾烈な学内(恐怖)政治の実態を多くの実名とともに描いた快著(といってもよいと思います)です。(旧文部省がこの新設大学をいわば「食い物」にした実態もよく理解できました。)非常に面白く、内容に引きずり込まれてあっという間に完読しました。読めば分かる一書。
痛感させられたのは、学者が政治をやりはじめるとロクなことはないなということです。なまじ純粋な方が多そうなだけに、恨みは尾を引くというのか、立ち回り方が汚いというのか、学問的な業績のレベルと人品骨相が(このケースでは)比例しなかったということなのでしょう。
本書はおなじみ「ヒラノ(平の)教授」シリーズの第4弾。(私憤を抑えた著者の公平な書き振りにはいつも感服しています。)なお一点だけ、副題には「日本のソフトウェアはなぜ敗れたのか」とあり、著者いわく「日本のソフトウェア科学の未来は、筑波の成否にかかっていた」(199頁)とのことですが、その学問史的(あるいは科学史的、産業史的)な全体像は、本書だけでは論証できませんし、また論証されてもいないように思いました。(他方で、本書がそのための重要な文献となるのは間違いのないところではあります。)
大学における学内政治を乗り切るための指南本に是非(笑)。
痛感させられたのは、学者が政治をやりはじめるとロクなことはないなということです。なまじ純粋な方が多そうなだけに、恨みは尾を引くというのか、立ち回り方が汚いというのか、学問的な業績のレベルと人品骨相が(このケースでは)比例しなかったということなのでしょう。
本書はおなじみ「ヒラノ(平の)教授」シリーズの第4弾。(私憤を抑えた著者の公平な書き振りにはいつも感服しています。)なお一点だけ、副題には「日本のソフトウェアはなぜ敗れたのか」とあり、著者いわく「日本のソフトウェア科学の未来は、筑波の成否にかかっていた」(199頁)とのことですが、その学問史的(あるいは科学史的、産業史的)な全体像は、本書だけでは論証できませんし、また論証されてもいないように思いました。(他方で、本書がそのための重要な文献となるのは間違いのないところではあります。)
大学における学内政治を乗り切るための指南本に是非(笑)。