春風夏雨 (角川ソフィア文庫) の感想

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タイトル春風夏雨 (角川ソフィア文庫)
発売日2014-05-24
製作者岡 潔
販売元KADOKAWA/角川学芸出版
JANコード9784044094652
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » あ行の著者

購入者の感想

「・・・六十年後の日本はどうなるだろうと思うと慄然とならざるを得ません。それで私は単に教育だけではなく、このくにの今の世相全体が大変心配であると呼びかけようと考えました。」と、1965年に書かれた本書はしがきにある。けれど、本書は教育論や社会論といった類のものではない。ぱらぱらとめくると仏教書のように見えるかもしれない。

著者は数学者だ。30数年前、大学進路に迷っていた私が血迷って数学にしようかなと言ったとき、知り合いが「数学は哲学の世界にはいっちゃうからな」と言ったのを思い出す。俗人には論理の極みのように思える数学を、その道に通じている人は直観で語る。そして、その(心の)目線で観れば対象が絵画や音楽であっても、浮かび上がってくるのはその本質である。直感ではなく、直観。

自己と向き合いつつ、それを解き放つ。言葉ではうまく言えないが、自分と世界が一体となるよう我を捨てるという感じ。その時になって初めて感じるであろう喜び。
本書が書かれてからほぼ50年。物質主義、個人主義に偏ってしまった“このくに”は滅んではいないが、そこに暮らす人々はどれだけ心からの喜びを感じているか。

岡さんの文章を読むと心が澄んでいくように感じる。いや、澄まさねばいけないように思ってしまうというほうが正しいか。物質的享楽も大好きなのだが、精神的高揚のない人生もつまらないし。『春宵十話』とともに折に触れ読み返す一冊になりそうだ。

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KADOKAWA/角川学芸出版から発売された岡 潔の春風夏雨 (角川ソフィア文庫)(JAN:9784044094652)の感想と評価
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