もう一度 (新潮クレスト・ブックス) の感想

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タイトルもう一度 (新潮クレスト・ブックス)
発売日販売日未定
製作者トム マッカーシー
販売元新潮社
JANコード9784105901073
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

 事故で得られた損害賠償、850万ポンド。
「再演」がもたらすエクスタシー、priceless。

  すべては、歴史の、ほんの一部が、繰り返されてるだけ

「僕は事故そのものについて、多くを語ることができない。……そもそも僕は、
あの出来事について、何も覚えていない」。
「僕」が失ってしまったのはその記憶だけではない。「僕は体の動かし方を
学ばなければならなかった。体の右半分の動きをコントロールする脳の部分が
損傷を受けたからだ。……僕は何をするにも、まず学ぶことから始めなければ
ならなかった」。
 より重要にも、「僕」はいつしか「リアル」の感覚をなくしていた。
 そんなある日、転機が訪れる。知人宅のバスルーム、ありふれたひび割れ、
「この記憶がいつのものなのか、さっぱり分からない。それなのに記憶は、僕が
こうしてバスルームにたたずんでいるあいだにも、一分ごとにふくらんでゆく。
ひび割れの中から、記憶の中の建物が外へ向かってどんどん広がる。……
そのとき僕は、自分の大金を何に使ったらいいのか、はっきり分かった。僕は
あの空間をもう一度作り、自分のリアルさを実感するために、その空間に足を
踏み入れたい。そうしたかった。そうしなければならなかったし、そうするつもり
だった。他のことはどうでもいい。僕はひびをじっと見つめたまま、そこに立った。
すべてはそこに行き着いた」。
 日々の実存なんてただの茶番、「僕」の「リアル」はただひとつ、この記憶を
ひたすら「再演」し続ける世界の中だけに、繰り返す「歴史」に「受け身」のまま
流されるその瞬間の中だけにあった。

 欠点を挙げていけばキリはない。
 例えば冒頭間もなくの知人二人との飲み会、一方はアフリカ経済構築の夢を、
もう一方はセックス・アンド・ドラッグの魅惑を語る。陳腐に過ぎるコントラスト。
 起承転結もないといえばない。大半の設定はなおざりに放置され、一見したところ

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