終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか の感想

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タイトル終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか
発売日販売日未定
製作者水野 和夫
販売元日本経済新聞出版社
JANコード9784532354077
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

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購入者の感想

経済の数式に疎い人間にとっては、勉強になる本だと思います。様々な図表は、大変参考になります。ただ、海と陸の戦いというのは、あまりに漠然としすぎて、歴史的にも、経済的な概念でも、整理されているかどうか疑問です。要するに、封建制でも、イギリスのように、資本主義が発展した国と、スペインや、イタリア・オランダ・ドイツのように、マニュファクチャや、独立自営農民の発展が遅れ、資本主義が発展しなかった国 封建制(絶対王政)が強かった国との経済史的な判定ができていないと感じます。しかし、アメリカと日本のバブル崩壊とか、最近の経済分析は優れていると思います。現在に資本主義が陥っている、状況を考える一冊としては、良い本だと思います。

いつも、新たな世界観を提示してくれる水野氏の最新刊。
今回は、大航海時代と現代とのアナロジーを提示する壮大な作業から始まる。

 現代文明は、安価な石油によって成り立ってきた。
これが、石油ショックをきっかけに交易条件の悪化から、製造業の変動費率が上昇し、これをきっかけに固定費である人件費の変動費化による削減への動きとなる。
そして、グローバリズムと新興国の台頭の動きのすべてが、利子率革命につながっているという。
この状態で成長が止まると、企業も政府も「成長戦略」の名のもとに政策の総動員が行われる。
ところが現実には成長とはまったく正反対の現象が起きている。日経平均株価は、2008年10月になんと50年移動平均線を下回ってしまいこれが今も下回ったままである。

また、グローバリゼーションは社会福祉国家の解体と中産階級の崩壊を引き起こす。現実に世界中で中産階級の没落が起きている。
しかし今や新興国の出現によって、資源価格の高騰が続き、採算性は急激に悪化し、先進国はデフレ、新興国はインフレに悩まされている。
そして恐ろしいことに、市場原理主義を推し進めた結果、企業は利潤率を極大化しようとして限界労働分配率がゼロに見買って低下していく。
ここで、恐ろしい試算が出てくる。
今後原油価格が1バレル当たり10ドルずつ上がると予測すると、企業のROEを15%に保つためには、2028年度の人件費は2010年度を100として、46.3となるという。
すなわち先進国の賃金水準は新興国の賃金水準と等しいところまで低下するという。
そしてこれは、16世紀の先進国イタリアの実質賃金の50%の低下や英国のピーク時の24%までの低下と呼応する。

また、先進国の消費社会を支えてきた中間層の多くが没落しつつある姿は、共通に見られる現象であり、正社員の非正規化の流れはこの傾向をますます加速させるという。
まさに、「16世紀のスペインの貧困の理由はその富自体にある」のである。

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