経営戦略を問いなおす (ちくま新書) の感想

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タイトル経営戦略を問いなおす (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者三品 和広
販売元筑摩書房
JANコード9784480063229
カテゴリ » ジャンル別 » ビジネス・経済 » オペレーションズ

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購入者の感想

技術者や研究者として優れた功績を上げた人が出世した先に経営側に回るという
当たり前に行われているけれど、考えてみればおかしい日本の人事制度の問題が
本書の中でずばり指摘されている。

「営業や技術開発で実績を上げた人には何らかの報奨が必要としても、
それが昇進という形を取ってよいのでしょうか、昇進するということは、
それだけ経営者のポジションに近づくことを意味します。実績の裏付けを持つ人は、
本当に経営者の適性に秀でているのでしょうか。答えはノーに決まっています。」

技術に詳しい人がエラくて、エラい人がいうことだからそれに従う、
というのがこれまでの日本のメーカーであり、それでは技術力があっても、
アジアの競合に市場で勝てないというのはもう証明されている。
著書が広く読まれて、経営者として適性のある人が会社の舵取りをするのが
常識となってほしいと思う。

なかなかの本である。猫も杓子も「戦略」という言葉を重宝して用いるが、そもそも策定される代物が戦略でない場合(戦術と混同している場合)、あるいは、戦略として策定されたとしてもその戦略がすぐに棚上げされてしまう場合が大半で、戦略とは何ぞやということをきちんと理解して戦略を策定し、戦略に沿って判断し行動できる組織があまりにも世の中に少ないということが著者の問題意識の発端である。

本書の中で、著者は戦略の肝として「立地(ポジショニング)」「構え(基本設計)」「均整(バランス)」という三要素を提示しており、これ自体は何ら新しい概念ではないが、特に日本企業に着目した場合、これらの要素を入れ込んで戦略を策定するのが経営者ではなく部課長級の管理者であることが最大の問題であるとしている。短期的視野の縦割り社会の中で長年キャリアを積んできた部課長が中長期の横断的戦略を策定するのは、いかに有能な人材であっても困難であり、経営の素質を持った人材をできるだけ早期に選抜し、様々な試練を与えた上で10年以上の長期にわたって経営を委ね、戦略も当然経営者が策定すべきであるというのが著者の主張である。「(社長の)長任期は高収益を保証しませんが、短任期の連続は低収益を不可欠とします。」ということをデータで裏付けながら結論づけているのはなかなか清々しい。

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