語る禅僧 (ちくま文庫) の感想

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タイトル語る禅僧 (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者南 直哉
販売元筑摩書房
JANコード9784480427588
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

少年時代、青年時代を語った「第一章出家の由来」は鬼気迫る迫力。八歳で「世界は約束でできている」とか、死に対する感覚の鋭敏さとか、かなりの緊張感をもって読んだ。教師一家で育った著者が出家して坊さんになるに至った経緯というか出家するしか道がなかった精神的な状況がよく描かれている。一方、「第二章禅僧の言葉」はエッセー風味。実際、某月刊誌の連載エッセーだったそうだ。第一章のようなカミソリのような切れ味の鋭さはところどころに感じるが総じてリラックスして読める。オウムの事件だとか時事的な題材のものもあるが、なんだか上滑りしていて面白くない。「第三章アメリカ安吾体験記」は、はっきり言って退屈。気の抜けたビールを飲まされているようだった。第三章は文庫化に際して追加されたものらしいが、第一章がピンと張りつめた緊張感に満ちていただけに、残念。

この本は、今から10年以上前・・・1998年、朝日新聞社から出版されたものに、
新たに「第3章 アメリカ安居体験記」を加筆、そして宮崎哲弥氏の解説を加えて文庫化されたものである。
元になった単行本は今や絶版になっており、入手困難である。

何といってもこの本の凄みは、若かりし頃の著者の、赤裸々な告白にあると思う。

生きていることの不安、自分が自分であることの脆さ、
死を理解することの困難性・・・そして、仏教との出会い。
著者自身の幼少期の体験が、想いが、第1章において痛切に書き綴られている。

あとがきでも述べられているが、「作家のすべては処女作に表れる」とは、
この場合まさにその通りであろう。表れざるを得ないのである。

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