ジョルジュ・バルビエ-優美と幻想のイラストレーター- (西洋アンティーク図版本シリーズ) の感想
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参照データ
タイトル | ジョルジュ・バルビエ-優美と幻想のイラストレーター- (西洋アンティーク図版本シリーズ) |
発売日 | 2011-10-31 |
製作者 | 海野 弘 |
販売元 | パイインターナショナル |
JANコード | 9784756241443 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
※サンプル画像
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購入者の感想
世紀末に生まれ、大恐慌とともにキャリアを終えた、アール・デコを代表するグラフィック・アーティストの傑作の数々。
ジャンルは、雑誌のイラストやファッション画だけでなく、文学作品の挿絵、バレエ・リュスを含む舞台芸術のイラストなど多岐にわたり、オリエンタル趣味も随所に登場します。
宣伝文句の「花咲く乙女たちの夢幻の空間」というのは、ちょっと違います。また、表紙もおそらくバルビエの画からのコラージュにすぎず、少女の世界を連想させて誤解を招くと思います。
時に華やかに、時にエロティックに、時に踊るように、時にしどけなく、様々な姿で登場するのは、もっと大人びた、当時の理想的なモダンガールや18世紀の装いを身にまとった女性達です。
しなやかだけど大胆で、とんがっているけど可愛らしい、大人の女性像の一つの極みです。
ファッショナブルで鮮烈なアール・デコの寵児・エルテは、幾何学的な構成で画面の中央に刺激的なエッセンスを集中させて、見る者を幻惑する印象があります。
それに対して、バルビエの画は、ディテールや雰囲気のすべてを含めた、画面全体を使って表現するアートだと思います。物体の輪郭線や人物の視線がもつ、たくさんのベクトルが画の中で優雅に交錯します。
全体感と、その構成の緊密さや繊細さは、似た作風の画家の中でも抜きん出た特徴のように私は感じます。しかも、構成は画ごとに自在に変化して、無限のパターンを持つかのようです。
この本は、バルビエの“てんこもり”だと思います。
ページレイアウトは凝っていて、1ページ目から最終ページの隅々まで、ロココ&アール・デコな雰囲気を漂わせ、単なる空白がありません。といって、装飾過剰な感じがしないのは、バルビエの画がそれを求めているからかもしれません。
残念なのはテキストで、子細に見ればそれなりの情報量はあるものの、バルビエの生涯及びアートについて、少なくとも私にはピンときませんでした。鹿島茂(著)の「ジョルジュ・バルビエ画集:永遠のエレガンスを求めて」の、“エレガンス”と洒脱な“エロティズム”を主張する偏愛に満ちたテキストの方が、“バルビエの世界”への扉を開いてくれる気がします。
ジャンルは、雑誌のイラストやファッション画だけでなく、文学作品の挿絵、バレエ・リュスを含む舞台芸術のイラストなど多岐にわたり、オリエンタル趣味も随所に登場します。
宣伝文句の「花咲く乙女たちの夢幻の空間」というのは、ちょっと違います。また、表紙もおそらくバルビエの画からのコラージュにすぎず、少女の世界を連想させて誤解を招くと思います。
時に華やかに、時にエロティックに、時に踊るように、時にしどけなく、様々な姿で登場するのは、もっと大人びた、当時の理想的なモダンガールや18世紀の装いを身にまとった女性達です。
しなやかだけど大胆で、とんがっているけど可愛らしい、大人の女性像の一つの極みです。
ファッショナブルで鮮烈なアール・デコの寵児・エルテは、幾何学的な構成で画面の中央に刺激的なエッセンスを集中させて、見る者を幻惑する印象があります。
それに対して、バルビエの画は、ディテールや雰囲気のすべてを含めた、画面全体を使って表現するアートだと思います。物体の輪郭線や人物の視線がもつ、たくさんのベクトルが画の中で優雅に交錯します。
全体感と、その構成の緊密さや繊細さは、似た作風の画家の中でも抜きん出た特徴のように私は感じます。しかも、構成は画ごとに自在に変化して、無限のパターンを持つかのようです。
この本は、バルビエの“てんこもり”だと思います。
ページレイアウトは凝っていて、1ページ目から最終ページの隅々まで、ロココ&アール・デコな雰囲気を漂わせ、単なる空白がありません。といって、装飾過剰な感じがしないのは、バルビエの画がそれを求めているからかもしれません。
残念なのはテキストで、子細に見ればそれなりの情報量はあるものの、バルビエの生涯及びアートについて、少なくとも私にはピンときませんでした。鹿島茂(著)の「ジョルジュ・バルビエ画集:永遠のエレガンスを求めて」の、“エレガンス”と洒脱な“エロティズム”を主張する偏愛に満ちたテキストの方が、“バルビエの世界”への扉を開いてくれる気がします。