99歳一日一言 (岩波新書) の感想
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参照データ
タイトル | 99歳一日一言 (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | むの たけじ |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004314578 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 名言・箴言 » 日本文学 |
購入者の感想
実は、私は、この著者のことをほとんど知らなかった。
1915年1月2日生まれということだから、満99歳にして、現役のジャーナリストであり、そして、今現在も、“ライフ”という名の学校の最終コースに在籍しているそうだ。
数社に渡る新聞社の勤務を経て、また、悲惨な戦争体験を経て、彼のこれまでの99年の人生行路の各場面から産まれてきた言葉の数々を拾い集めたこの本は、冬の章から始まり、春、夏、秋で終わる構成をとる。それは、彼が、冬の季節が一番好きであると同時に、冬こそが本当の始まりの時だと思っているからなのだろう。
雪国の秋田県に生まれた彼は、子どもの頃、猛吹雪に遭遇したら、歩き回らずに、穴を掘って、その中に入るように、と大人に言われていたそうだ。一度、その通りに実行したことがあったそうだが、その際の雪穴の温かさは、春・夏・秋のどれもが、冬の中で用意されていることを思わせたということを、彼は述べていた。
そして、秋の章で終わるのは、“死”が彼にとっての大いなる実り、つまり、〈完成〉そして新たな〈出発〉を意味するものだからではないだろうか。
彼の言葉は実に生々しく、時に激しく、時にズシンと重い。それは、彼が、言葉を何よりも大事にしていて、発する言葉に責任を負っているからに他ならない。また、言葉に、社会の現実から目をそらさずに自らの思慮をぶち込もうとして、また、彼の生命と生活のありったけをぶち込もうとして、もがき続けるからに他ならない。つまり、彼の言葉は、彼が人生上のあらゆる課題に、そして、ジャーナリストとして、社会で生きる上でのあらゆる疑問に、全身全霊で反応してきた証であり、深い反省であり、強烈な信念であり、彼の迸る生命そのものであるのだ。
「「太陽が地球を回っているのではなく、地球が太陽を回っている」という人がたった一人いた。その人を人類は殺すところだった。このことを決して忘れず、人類よ、たった一人をいつも大切にしよう。」
彼は、人と人との相互関係は、目的や組織の規模に関わらず、〈一対一〉が原則であると力説する。それを裏切ることは、人間そのものを裏切ることになってしまうのだとも。
1915年1月2日生まれということだから、満99歳にして、現役のジャーナリストであり、そして、今現在も、“ライフ”という名の学校の最終コースに在籍しているそうだ。
数社に渡る新聞社の勤務を経て、また、悲惨な戦争体験を経て、彼のこれまでの99年の人生行路の各場面から産まれてきた言葉の数々を拾い集めたこの本は、冬の章から始まり、春、夏、秋で終わる構成をとる。それは、彼が、冬の季節が一番好きであると同時に、冬こそが本当の始まりの時だと思っているからなのだろう。
雪国の秋田県に生まれた彼は、子どもの頃、猛吹雪に遭遇したら、歩き回らずに、穴を掘って、その中に入るように、と大人に言われていたそうだ。一度、その通りに実行したことがあったそうだが、その際の雪穴の温かさは、春・夏・秋のどれもが、冬の中で用意されていることを思わせたということを、彼は述べていた。
そして、秋の章で終わるのは、“死”が彼にとっての大いなる実り、つまり、〈完成〉そして新たな〈出発〉を意味するものだからではないだろうか。
彼の言葉は実に生々しく、時に激しく、時にズシンと重い。それは、彼が、言葉を何よりも大事にしていて、発する言葉に責任を負っているからに他ならない。また、言葉に、社会の現実から目をそらさずに自らの思慮をぶち込もうとして、また、彼の生命と生活のありったけをぶち込もうとして、もがき続けるからに他ならない。つまり、彼の言葉は、彼が人生上のあらゆる課題に、そして、ジャーナリストとして、社会で生きる上でのあらゆる疑問に、全身全霊で反応してきた証であり、深い反省であり、強烈な信念であり、彼の迸る生命そのものであるのだ。
「「太陽が地球を回っているのではなく、地球が太陽を回っている」という人がたった一人いた。その人を人類は殺すところだった。このことを決して忘れず、人類よ、たった一人をいつも大切にしよう。」
彼は、人と人との相互関係は、目的や組織の規模に関わらず、〈一対一〉が原則であると力説する。それを裏切ることは、人間そのものを裏切ることになってしまうのだとも。