ばかウマ の感想

277 人が閲覧しました

タイトルとか、テリヤキストという造語とか、帯広告の美化されすぎの堀江さんとか、よく買ったなと自分で思うくらいにネガインパクトでした。
ところが、これ読み始めるとノンストップです。名もない食堂のランチが美味くって美味くって、我を忘れて怒涛の完食といえば分かりますか？下品なまでに一気読みでした。
それでいて、一つ一つのお店や紹介文が鮮明に頭に残ってしまってます。頭じゃないな、舌か腹ですね、喰った気分になってるのに、これから喰いたいとひたすら思えます。

いわゆるグルメ本って、誰とは言わないけど、文章力や表現力に乏しいお笑いの人なんかがなんちゃってグルメライターやったりすると、高い店に行けちゃうオレ、味が分かっちゃうオレという痛い痛い内容だったり、読者からすると黙ってメニューと写真だけ見せろみたいな独り善がり蘊蓄ばっかのライター本が多いけど、本書はそういうハズレがないのがうれしいです。
美味しい外食は、素人が能書きをＳＮＳに書くためではなく、客が自身の財布で自身の舌と腹を満たし、家族や友人とのひと時を盛り上げるためにある。そんな忘れがちな当たり前をサポートしてくれる本書は、レストランガイドでありながら、それ以上の何かも伝わってくるところも高評価です。

上手な文章で、色々な味を知っているグルメトークをしてはいますが、目線が読者目線に思えます。
ちょっとしたランチ一食分のお代ですから、騙されたと思って買っても損はないと思います。