マン・オン・ザ・ロックス の感想

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2008年リリースの前作がオーケストラまで導入したかなり本格的なプログレ路線のアルバムだったので、
今作もてっきりその路線を引き継ぐのかと思いきや、さすがというべきかそこはMike Oldfield（笑）、
例によって例の如くコロッと路線を変更して、今回は全曲歌もののポップ路線となっています。
なんでも以前から書きためていた曲をまとめたプライベートなアルバムなんだとか。

全体的にYouTubeにもPVがアップされている１曲目の「Sailing」や「Man On The Rocks」のような
明るいタッチの爽快感のある曲調が印象的で、中には書きためていたという情報通り、これはちょっと古い曲なのかな？
というような雰囲気の曲（「Chariots」とか、『Discovery』に入っていてもおかしくなさそうです）もあるのですが、
聴いていてジャケット通りの青空が広がっていくような、そんな優しいタッチのアルバムになっています。

またこのアルバムでは全曲でThe Strutsという若手バンドのボーカル、Luke Spillerが歌を歌っています。
このLuke Spillerという人、YouTubeでPVなどを観る分にはなんだか頼りなさそうな雰囲気があって、
買う前はアルバムに対するネガティヴ要素にもなっていたのですが、
いざ聴いてみるとMike Oldfieldが一目惚れしたというのも頷けるくらいめちゃくちゃ歌がうまい人で、
（マイクがたまたま彼らのライブを見て猛烈に感動したというのが今回のコラボレーションの理由だそうです）
ロック系の曲からしっとりしたバラード系の曲まで、器用に声を使い分けて歌っています。すばらしいボーカルだと思います。
自身のバンドであるThe Strutsはこの仕事で時間をとられたのか、
まだデビューアルバムをリリースするまでも至っていないようですが（汗）、ぜひこちらの方も聴いてみたいと思いました。

そしてMike Oldfield自身のギターは今作でも冴え渡っています。
思えば前作はオーケストラ、前々作は打ち込み系のアルバムだったので、

正直、前回までの作品は今一つ良いと思えるアルバムは無く、惰性で買い続け、過去の作品のデラックス版
ばかり聴いていたので、最新作には余り期待を持たずに購入しました…

今回のアルバムはとても良い！買いです！全曲歌モノ、しかも同じボーカリスト全編歌いまくりという珍しい
形態は賛否両論あると思いますが、私はこれで良かったと思います。
新人のボーカルは少しクィーンのボーカル故フレディ・マーキュリーを思い起こさせる、というか風味がある
と思ったのは私だけでしょうか？いい味出してます。

ここからはスーパーデラックス版というパッケージのレビューを書きたいと思います。

箱は「クライシス」の５ディスクデラックス版と同じ大きさの箱に入っております、ディスクは計３枚、
アルバム版と同曲のインスト版、それと全曲のデモ版とオルタナティヴ・ミックス４曲からなるボーナス
ディスクの３枚組、付属するのはCDサイズのブックレットと４枚のアートカード、他にカードと同じサイズの
表紙的な紙が入ってます。
ブックレットは冒頭に各ディスクの曲紹介が書かれた部分を除けば恐らく通常のアルバム（一枚物）版に
入るであろう程度の事（歌詞、参加ミュージシャン名などのクレジット）しか書かれておらず、特別感は
全くありません（笑）、箱は大きいのにディスク枚数も少ないしブックレットも「クライシス」よりショボイので
アートカードで隙間を埋めた、という感が否めません。デラックス版なんだから他のと違う写真を入れたり
せめて箱の大きさぐらいまで拡大したブックレットにしてくれよ！と言いたくなります。
マイクは頑張って良いアルバム作ったのにメーカーはもっと頑張れよ！という事で☆一つマイナスです
（もう半分ぐらい引きたいけど）。
アルバム版とインスト版は見開きのジャケットの両側に入っています。恐らく「スーパー」の付かない
デラックス版はこのジャケットに先ほどのブックレットを入れて発売されるのでしょう。ディスクが裸の
まま入っているのは国内版じゃないので驚きもしません。