魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫) の感想

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タイトル魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者米原 万里
販売元新潮社
JANコード9784101465227
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日本のエッセー・随筆 » 近現代の作品

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電話で話しているとロシア人と間違えられるどころか、ロシア人よりロシア語がうまい、といわれるほどの同時通訳者である著者が、ロシアというあまり馴染みのない文化で仕事を通じて体験し学んだ人間学についての13のエッセーを収録。

いくつか感心したり爆笑した部分を抜粋すると、

①「愛の定義とは、相手から無料で利益を引き出すのに、相手が対価以上のものをこちらから獲得したと錯覚し、トクしたと思わせるための呪文の一種」。これって、キャバ嬢たちが毎日スマホで客にばらまいているものだよね。

②「浅原教祖のような、理想的な形状をした脳波ともなると、たとえば言葉として発せられる前に相手の心に生じた概念を捉えてしまうらしい」。しかしなが浅原がロシアを訪問した際は、通訳をつけた。その理由は「訳す前からわかっていたのだが、通訳が正しく訳すかどうかを確かめるため」。なんと苦しくしかも見え透いた言い訳!

③同じくオウム真理教では、入信者にはなるべく解脱レベルの高い人に憧れ恋することが最終解脱の近道と言われた。結果、上祐の恋人だった都沢さんは、麻原に乗り換えてしまった。これを会社でやったらパワハラになる?でも本人が信じて乗り換えっちゃったんでどうしようもない。

④人々がいかに常識に縛られているかの例として、販売元が福島県の山菜をかったら中国産でゴキブリがはいっている話をあげている。自分もこれは常々感じていて、北陸カニツアーとかいっても出てくるカニがロシア産だったりカナダ産だったりすることを知らずに満足して帰ってくる客は幸せなのだろうか?

⑤何故糞尿の話がウけるか?食欲と排泄欲はともに生理現象ではあるが、食物摂取にてインプットされるものには身分階級差が顕著に表れるのに対して糞尿によりアウトプットされるもにには変わりばえしないから。

⑥ロシアが日本大使館の新しい場所を提案してきた。それはクレムリン宮殿を望むモスクワ川対岸のすばらしいロケーション。だけど日本は即刻その提案を断った。なぜなら、住所が、「モスクワ市ヤキマンコ通り」だったから。

ロシア語通訳者の経験などから得た話題は枯れることのない泉のよう。ただただ鋭い観察力に脱帽するばかり。物事って片方だけ見てちゃダメなんだということが良く分かります。世界は広い!いろんな人種がいていろんな文化があります。ところ変われば常識が変わる。
米原万里さんの本は全部おもしろいけど、あえて一番は?と聞かれたらコレ。米原さんの本を読んだことがない方は是非この本からどうぞ。

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