世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (光文社新書) の感想

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タイトル世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (光文社新書)
発売日2013-10-17
製作者山口 周
販売元光文社
JANコード9784334037680
カテゴリ » ジャンル別 » ビジネス・経済 » オペレーションズ

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購入者の感想

某大手電機メーカーの秘書部勤務が長かった友人から勧められて本書を読んだのだが、いや実に刺激に満ちた良書であった。友人曰く「だよな〜」の連続であるとのこと。同感である。

冒頭、著者は「日本人には創造性がないので、そもそもイノベーションに向いていない」という世上流通している俗論が全くの誤解、平たく言えば大ウソで、日本人は実は極めてクリエイティブで創造的で、これまで何度も世界をあっと言わせる大ヒット作を生んできたという。そしてその代表例として黒澤明監督による映画「羅生門」を引き合いに出す。この名作はヴェネチア国際映画祭の50周年記念祭で「グランプリ・オブ・グランプリ」にも選ばれる等、いまだに国際社会から非常に高い評価を受けている。問題は、この映画を作った大映社内でこの映画が全く評価されず、興行的にも振るわなかった(つまり日本の消費者にも理解されなかった)ことから製作を推進したディレクターやプロデューサーがことごとく左遷されていたことだ。要するに日本にはクリエイティブでイノベーティブな人材は「星のごとく」「湧くがごとく」存在するが、日本社会の問題はこうした斬新で革命的なアイデアを十分評価できない、ここにこそ問題があるのだと喝破するのである。

同じことは養老孟司も「自分の壁」で書いている。日本では良く「教育がダメだ」「初等中等教育は大学受験一辺倒の丸暗記教育中心で創造力のある革新性のある人材育成に失敗している」「いや一番悪いのは大学教育だ」などと、日本の教育が悪く、日本の学生のレベルがどんどん低下しているみたいな議論が横行しているが、これもウソである。私は断言する。今でも日本の教育は世界最高であり、「日本には陸続と世界に冠たる大秀才、大天才がそれこそ人材湧くがごとく次々と生まれているのだ」ということを。では何がいけないのかというと、「全体最適」「和を尊ぶ」「一人でも反対する者がいれば、無理に政策を推し進めることはいけない」という日本社会そのものが、こうした創造的でクリエイティブで、斬新で革新的な人材の発案であり提言を拒み、拒絶して、ゴミ箱に捨て去っているのだと。

良書だと思います。

古今東西の発明や発見のエピソードから「イノベーションが発生する状況」について帰納し、それを組織論に当てはめるという展開ロジックを取っています。

この帰納のために使われている事例の紹介に書籍の八割が割かれていて、ここがとても知的に面白い。

一方で、タイトルから想起されるアップルやGoogleといった企業の取り組み事例は、殆ど情報がありません。

とてもいい本だと思いますが、この部分が少しなあということで☆四つとしました。

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