ごんぎつね (日本の童話名作選) の感想

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参照データ

タイトルごんぎつね (日本の童話名作選)
発売日販売日未定
製作者新美 南吉
販売元偕成社
JANコード9784039632708
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

小学校4年生の教科書に載っている(いた?)ごんぎつね。
5歳の娘にはまだ早いかな?と思いながら購入しました。

最初に読んだときは、半分ほど読んだところで「長いよ」と言い出し、ページを捲るとため息をついたりしていましたが、構わず読み進めました。
最後まで読むと、それまで明らかにうんざりしていた態度を見せていた娘が、じっと背表紙を見つめて黙っていました。

なにか感じるものがあったのかなとは思いましたが、途中までのウンザリしてますよアピールが記憶に残っていたため、翌日は別の絵本を読みました。
が、その別の絵本を読み終わると、「これがいい」と言って、ごんぎつねの絵本を持ってきました。

読んであげると、やはり中盤あたりになるとぬいぐるみをいじったりしながら、聞いているのかいないのかわからないような状態でいましたが、最後の章になるとじっと絵本を見つめ、集中して聞いています。
そして読み終えると、やはりじっと絵本を見つめたまま黙っています。
「悲しいお話だね」と言うと、「うん」とだけ言って、横になります。

購入してから数週間経ちますが、これまで1日も欠かさず、絵本の時間の最後には「ごんぎつね」を読んでいます。
今までにも好きな絵本はありましたが、一番好きな絵本、となると、聞くたびに答えが変わっていた娘ですが、今では
「〇〇(娘の名前)が一番好きな絵本はなーんだ」と、なぞなぞ(になってないですが)の問題にするくらい、明確に「ごんぎつねが一番好き」と言っていますし、事実ここまで気に入った絵本は今までにありませんでした。

妻がふと「なんでごんぎつねが好きなの?」と聞いた時には、ちょっと困った顔で「悲しいお話だから」と言って、言葉選びを間違えたと思ったのか、すぐ「図書館ライオンみたいないいお話だから」と言っていました。
としょかんライオンは悲しくないよね?最後は嬉しいお話だよね、と言うと、『そりゃわかってるんだけど、そうじゃない』と言うような顔で、うまく伝えられないようでした。

しかし、娘が本当に気にっているんだなと言うことは伝わります。

 理解しあえた時は、相手を射殺した直後だった。あまりに悲劇的な結末に、最初に読んだ小学生時代から、胸が締め付けられた。

 大人になった今、この結末の先、「翌日から、兵十の孤独な暮らしが続く」ことを想像することができるので、痛ましさは、さらに倍加して、胸がつぶれるような幕引きでもあることを理解する。

 新美南吉の至高の作品だと思う。朗読すると、最後の場面は、涙があふれて読めない。

 いろいろな絵本画家が作画しているが、黒井健さんの絵は、文章を損ねず、美しい日本の風景の中に、ごんの毛の感触を、つややかに表現した、適切な絵だと思う。

 子供時代から、いろいろな作画で見たのに、「ごんぎつね」を思い浮かべる時は、黒井さんの絵で思い描く。

20世紀の日本文学の中で、新美南吉と宮沢賢治は児童文学で知られながら最も人間関係の軋みを表現することに長けた作家だと思う。この美しく繊細でありながら悲しい「ごんぎつね」は、人間と狐と言う違いはありながら、お互いに似通った境遇を持ち共感し接触しようとするも、分かり合えず時には傷つけてしまう人間の性を最も鋭く描いた作品である。この作品を書いた時に新美南吉はまだ18歳だったというが、その鋭利な感性にも脱帽。黒井氏の柔らかい挿絵も、この物語に合っていて物語のイメージを鮮明にしてくれる。

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