黒蜥蜴 [DVD] の感想

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待ってました。15年くらい前、ケーブルＴＶで観て以来、ソフトが入手できるのを！

江戸川乱歩が書いた小説を、三島由紀夫が戯曲化、それを更に新藤兼人が脚本化し、井上梅次が監督する
という、どうにも連想がつながりにくい天才・鬼才たち4人の手を経て誕生した映画は、世にも類希なる、
キメラのようにカオスな「犯罪ミュージカル映画」になってしまった。

「江戸川乱歩原作」「明智小五郎もの」「題名は『黒蜥蜴』」こう聞いて、普通ならどんな映画が想像され
るでしょうか？
「黒蜥蜴という犯人がいて、それを明智小五郎が颯爽と捕獲するまでを、サスペンスと怪奇趣味で見せるの
だろうな」というのが妥当な線ではないでしょうか？　よもや
「黒蜥蜴一味が颯爽と踊りまくり、明智小五郎がてんてこ舞いし、恋の悩みに悶えつつ、歌と踊りのうちに、
事件は意外な結末へと向かうだろう」などとは思いますまい。
まして、黒蜥蜴の意外すぎる逃走手口、部下たちとの関係性と来た日には……想像不可能だと断言したい。

まあ映画史的には、明らかに重要性皆無の、B級C級と評価されるものでしょうが、蓼食う虫も好き好きで、
好みにぴったりくれば、私のように熱愛してしまう者もいるわけで。
無難な出来の映画に飽き飽きした！　思いっきり変なものが観てみたい！　と言う人には大いにお薦めします。