孟子〈下〉 (岩波文庫) の感想

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タイトル孟子〈下〉 (岩波文庫)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784003320426
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

私は訳の部分だけを読んでいますが内容を知るにはこれで十分です。

本書には孟子全七篇中四篇を収録する。

離婁篇には民主主義の萠芽らしき言葉がある。「桀紂が天下を失えるは、其の民を失えばなり。其の民を失うとは、其の心を失うなり。天下を得るに道有り、其の民を得れば、斯ち天下を得べし」。しかし「天、賢に與うれば則ち賢に與え、天、子に與うれば則ち子に與う」なる言葉は、天下を取った者こそ天命を得た者、と逆用できる。春秋戦国は秦の始皇帝の統一をもって決着がつき焚書坑儒に到る。「不仁にして天下を得る[者]は未だこれ有らざるなり」と言う孟子にとって現実は厳しかった。

萬章篇では、孟子は民衆から搾取する諸侯の贈り物を平然と受取る振舞いを弟子から厳しく追求されている。「請う辭を以て之を卻(しりぞ)くるなく、心を以て之を卻けて、その諸を民に取るの不義なるを曰いて、他の辭を以て受くるなきは、不可ならんか」。孟子は孔子や子思を都合よく引用して苦しい弁解をするが、弟子に分がある。吉田松陰は「經書を讀むの第一義は、聖賢に阿ねらぬこと要なり」と教えるが、孟子の弟子には聡明な者が多いようで、全篇で孟子や堯舜の振舞いに対し厳しい質問が投げ掛けられている。

告子篇では有名な性善説が論じられる。「生も亦我が欲する所なり、義も亦我が欲する所なり。二者兼ぬることを得べからざれば、生を舍てて義を取らん」。格調高く後世陽明学を含む宋学に影響を与えた論説で、敢えて孟子の一篇を選んで読むとすれば告子上篇をお薦めする。

盡心篇は孟子の語録である。その教えがよく纏まっており、一読すれば可である。それにしても「詩には、素餐せずとさえ曰えるのに、君子の耕さずして食うは何ぞや」。弟子から見ても終にこの師のすることは不可解であったようだ。

吉田松陰・西郷隆盛・河合継之助…、幕末の明治維新は孟子が起こしたと言っても過言ではあるまいか。

論語・大学・中庸とならんで四書の一角を占めるこの書は、修養を志す方や政治家を夢見る方々には必読の書といえるかもしれません。

本当に思いやりのある政治学ですね。この思想をもって政治を行ってほしい。そう思える書物です。一度じっくり、和訳部分だけでもいいので読んでみてほしいです。

政治とはいかに為政者の志が大事であるかが、よくわかります。

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