バイアウト の感想

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「バイアウト・ファンド」なるものの実態や役割についての基本的な理解を得るには大変有用だと思います。ファンドの組成〜対象企業の発掘・投資〜企業価値向上および投資回収に至る一連の流れに沿って、関連する当事者がどのようなことを考え、また実務として何が行われているのかについて学ぶことができます。
日本でも、特に株式市場が活況を呈していた数年前から多くのファンドが出現したことと思いますが、その中には、好調な相場とブームに乗っかってひと儲けしようという軽いノリで設立されたものもあるのではないでしょうか。
金融危機とともにある種のブームが去り、一方で最近の景気後退によって企業（事業）再生という分野が改めて注目されるなか、本当の意味で産業の再生や経済の発展に貢献する役割を担うバイアウト・ファンドが求められてきていると思います。本書では、実務家の方々のインタビューも掲載されており、そういったファンドの果たすべき役割などについて語られています。
ただ、直接的にファンドの運営などに関わったことのない立場の人間としては、事業会社同士のM&Aならともかく、いわゆる金融投資家が事業会社の経営権を握ることによって本当に企業価値を向上させることができるのだろうかという思いは漠然とあります。そういった意味では、新経営陣の投入をはじめ事業面でのサポートがどこまでできるのかというのは非常に重要な要素のひとつなのだろうと感じました。