理系の子―高校生科学オリンピックの青春 の感想

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タイトル理系の子―高校生科学オリンピックの青春
発売日販売日未定
製作者ジュディ ダットン
販売元文藝春秋
JANコード9784163750804
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

一心不乱に何かに打ち込む若者の姿は古今東西美しいはずなのだが、スポーツや音楽に比べて「科学に青春を賭ける高校生」の姿を私たちはメディアでそれほど目にしない。確かに彼らの研究を理解するには予備知識も相当必要だし、快活な高校生の涙あふれる話を求めるメディアにとって科学マニアの理科系高校生の、黙々と研究に打ち込む姿は絵にならないのかもしれない。だが、その発想は理科系嫌いのマスコミの悪癖だ。
インテル国際学生科学フェア。
毎年50以上の国から1500人以上の高校生が集まり、400万ドルをゆうに超える賞金と奨学金をめぐって争われる。評者は科学の知識が少ないので本書の丁寧さは有難いが、科学の素養の高い読者にとっては物足りないのかもしれない。本書が描くのは科学コンテストに出場する世界中の科学少年・科学少女の生きかたであり、研究そのものが主題ではない。だが彼らの研究テーマは彼らが歩んできた環境から生まれるものだ。家に暖房がない貧しさの中、喘息の妹に安全な太陽光を利用した暖房器具を開発したネイティブアメリカンの少年は、支援を得て高等教育を受けることになった。荒れ狂う少年院で天体について優れた研究をまとめた少年は拘束具なしでフェアに出かけた。ハンセン病に罹患した少女は持ち前の明るさで偏見を吹き飛ばし、自らが広告塔となって啓蒙活動につとめた。
科学に恋してしまった彼らは、なかなかクラスの友人と折り合いがつかないだろう。オタク、ギーク、引きこもり、世間からの冷たい言葉と「そこまでやらなくても」という視線から、家族が壁となって研究環境を守った(少年院の場合は理解ある教師だ)。変わり者の天才少年少女に通常の学年別の教育とは異なる個人別の教育を与えるアメリカの私立学校もユニークだ。個性を伸ばすのはゆとりを与えることではなく、周囲の大人が徹底して彼らの知的好奇心に寄り添うこと。世界を変えるのはそこからだ。

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