社会を結びなおす――教育・仕事・家族の連携へ (岩波ブックレット) の感想

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参照データ

タイトル社会を結びなおす――教育・仕事・家族の連携へ (岩波ブックレット)
発売日販売日未定
製作者本田 由紀
販売元岩波書店
JANコード9784002708997
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

福祉事業に従事していると目の前のことに追われてしまうことが続く。時々自分の立ち位置を客観的に見ることが肝要である。本書は一つの手助けとなる。

今日、社会学をふくめ、社会科学は「細分化」が著しいとは周知のこと。
そんな中、戦後社会の流れを「わしづかみ」にする、大きな見取り図を描くことは、研究者として勇気がいる。
本田氏は、果敢にそれに挑戦している。

本書では、きわめて明快に、仕事・家庭・教育の三側面を一つのモデルにまとめあげ、戦後史を通観している。
もちろん、各論では、これまで別の研究者の業績が重要なベースとなっている。
それでも、彼女の真骨頂は、そうした個別具体的な研究成果を、一つのモデルに統合したことだろう。
(彼女自身も、本書の意義をそこに見いだしている)

そして、彼女の戦後の高度成長型モデルは、1990年代以後形骸化を余儀なくされた。
その後は、つぎはぎで、効果薄の応急処置がくり返されてきた。
最後は「やればできる」「怠けてるからダメなんだ」との精神論が語られ、若者は叱咤される。
団塊世代は、安穏と余生を楽しめており、社会保障関係費も例外的に老人ケアに多く支出され、これからの持続可能な社会設計にはほとんど見向きもしない。(みたいな筆致を彼女は見せる)

挙げ句、日本では、「弱者」たる若者を含め、「敵」を外や社会内部に見いだす始末。
めでたいかな、めでたいかな。

で彼女は終わらない(笑)。
最終章は、本ブックレットにふさわしく、公正に基づく財源の確保と老人以外の若者や女性、弱者ケアを訴え、筆を措いている。
セーフティネットとアクティベーション(就業支援など)の充実化を説くことも、今日ではごく一般的だろう。

でも、何だろう、本書に込められた彼女の筆温のなせる業か、やっぱり本書はよくできている。
こうした「アタリ」があるから、ブックレットは、やめられない。バカにできない!

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