不要家族 (文春文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 不要家族 (文春文庫) |
発売日 | 2013-03-08 |
製作者 | 土屋 賢二 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784167588182 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » エッセー・随筆 |
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購入者の感想
元同僚のお茶大の先生が文庫の解説で、土屋先生のエッセーは初期以来変わらないことが特徴であると、さすが発達心理学の専門家らしい的確な指摘を行っています(ユーモアエッセーの解説は大変だと実感)。つまり、この本でも、徹底的に日常的であるとともに、どこかこの世離れした土屋先生の文章に出会うことができるという意味です。本を開いて、お茶の水大学を定年退職した、悲哀感というか、虚脱感のようなものに出会いつつも、根っこにあるみずみずしさ、感性の鋭さは土屋先生の真骨頂です。私は、ついに、著者の文章と実生活がひとつのものになりつつあるように感じながら読んでいました。ウィットゲンシュタインを引用しながらの哲学入門は、他の著作であれば数百ページになる内容が、たった数ページに要約されています。良質のユーモアは健在ですが、どこか恬淡とした雰囲気が・・。変わらない中に、少しずつ変化しているところを発見するのも楽しみです。