イスラム教の論理 (新潮新書) の感想

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タイトルイスラム教の論理 (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者飯山 陽
販売元新潮社
JANコード9784106107528
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門

購入者の感想

イスラーム研究の業界内では飯山氏(と帯で絶賛してしまっている池内氏)のような言説はキワモノ扱いされている状況を前提として書きます。
私自身はどちらかというと、業界に未だ根強いユートピア論的イスラーム言説を好むわけではなく、今後は中道が必要とされると考えますので、本書のような「逆張り」のホラー論は、ユートピア論からの揺り戻しの過程においてある程度重要と思い、その意味で期待して読みました。

しかしながら、残念なことに深いイスラーム理解に裏打ちされているわけではありません。
細かい部分については、松山洋平氏がオリエント学会の機関紙にて発表された書評で論破してしまっているので、そちらを参照すべきと思います。

私から言っておきたいのは、こうした言説はいたずらに一般市民の誤認を助長してヘイトを増長させる可能性が高いということです。本書のような言説はキャッチーな論題かつ新書サイズでの刊行なので、どうしても一般層の読者がつきやすい。この点も問題だと思います。
学者を名乗るならその社会的責任を十分理解したほうがよいと思いました。
全てがデタラメとは言いませ。動機と視点は良いと思います。しかし、肝心の内容が残念です。
これから買おうと考えている方は、せめて他の入門書も一緒に読まれるとよいでしょう。松山氏『イスラーム思想を読み解く』、中田氏『イスラーム入門』、小杉氏『イスラームとは何か』などが新書サイズで手ごろです。

…ところで、(著者や池内氏など)カイロ留学組はこうした言説に傾斜する傾向があるように感じますが、カイロでよっぽど嫌なことでもあったんでしょうか?ただ単にイスラームをこき下ろしたいようにしか見えない議論もちらほら。

以下、松山氏の書評から最後の部分を引用しておきたいと思います。
ーーーーー(以下引用)ーーーーー
 (前略)第三の問題点は、本書の全体的な論の進め方・レトリックについてである。著者はいたるところで、①イスラム教ではジハードは正当な行為である→②「イスラム国」はジハードを行っている→③故に「イスラム国」はイスラム教の正しい実践者である、という議論展開を行う。

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