太平記(六) (岩波文庫) の感想

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タイトル太平記(六) (岩波文庫)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784003014363
カテゴリ古典 » 日本の古典 » 古代・中世文学 » その他の物語文学

購入者の感想

太平記第六冊は37巻から40巻、本文は本の半ば過ぎで終了します。
第四冊辺りからの混乱は「観応の擾乱」と呼ばれる時代で、もはや南朝は
蚊帳の外に置かれ、南朝方は細川清之を四国へ派遣したものの、中国に
派遣された細川頼之の知略に翻弄されて勢力を失います。
世をはかなんだ光厳院は京を離れ、住吉から南朝の吉野を訪れて、互いの境遇に
涙を流し、山国村に陰棲して崩じます。
後光厳院は旧来の儀式を復活させようとするも、それ自体をよからぬことの前兆
と捉えるような価値観の転換も起こり、華美に飾り立てて居並ぶのは武家ばかりで
朝廷の衰退を感じさせます。
そのほか佐々木道誉の動きには興味がありましたが、派手な茶会を催してライバル
の顔を潰したりと、いじめっ子の親玉のようなセコさの方が目立ってしまいます。
その他、北陸や関東で戦乱がある中で、大内、山名らが帰順し、二代義詮が薨じ、
細川頼之が京へ戻り、ようやく室町時代の始まりということになります。

本文の後に、解説代わりに、江戸期における「太平記」の影響に関する論考が
添えられていて、これが滅法面白く、楠公を中心に、太平記本文の十倍ほどの
分量の講釈が盛んに流布されたようで、今日での太平記のテクストが、平家物語
と異なり、それほど重視されないのも、そうした事情も背景にあるようです。
論考では、家康が新田を称する過程や、大日本史の編纂の過程では、南北の正閏論を
越えて、藤田幽谷らにより国の形の有りようを巡るイデオロギーに発展し、
攘夷論や天狗党の叛乱、そうして明治期の国体論にも大きな影響を与えたようです。

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