日本再興戦略 (NewsPicks Book) の感想

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論理が破綻していて、ツッコミどころ満載で疲れる。文章もネットの記事をコピペしたレベル。
ターゲットは自信を失っていてプライドを国に依存し、日本は世界に誇れる国だと信じたいけど、自分自身では特にそれを考えて行動してない漠然とした不安を抱えている、本をあまり読んだことない人というところ。まあそういう人が喜びそうな本書けば、売れるもんね。
ところどころに彼自身の自己アピールや、著名人を出した権威づけが失笑を誘う。

冒頭に東洋思想を持ち出しておいて、彼がとてもそれを理解してその後の段を提示しているとは思えない。日本で言われている「欧米」はそもそも「西洋一般の概念」で本質的に同じ用法だし、この後に「西洋」を連発している。
こんなのは序の口で、彼の言う再興戦略の「イノベーティブ」は全部その欧米から来た概念だ。おいおい、東洋はどこ行った？
そもそも人口減少を全部ロボットで解決してGDPを増やそう！なんて、GDPという指標がそもそも揺らいでいるし、自然資源に限りがある中で高度経済成長みたいな拡大方向目指してどうするの？単に手法を変えてるだけで、本質的な議論になってない。
しかも、日本ならではの自殺の多さや幸福度や自己肯定感の低さ、つまり精神に関わる問題は全くそれで解決しない。身体感覚の欠如は人間の精神を蝕むし、彼の言う「イノベーティブ」はそれを増やすばかりだ。
しかも身障者の多様性と言いながら、「寝たきり老人がパワースーツで動けるようになる」というのは、健常者を指標にして機械によってそこに近づけるという発想で、そもそも寝たきりの状態を受容する多様性とは程遠い。
人間が誰しも機械がするような単純作業以外のことをできる訳ではない。人口減少と単純に言っても、残る人間が彼の言うような「賢い天才」ばかりの訳がないし、ホワイトカラーにしか触れてないのは彼の見識の狭さを示しているよう。

やはり著者は国立大に居るせいか日本の優位性に繋がる戦略を書いたポジショントークになっている。日本が課題に先んじれば他国を出し抜けるという内容。実際には良いところはすぐに真似されるし逆もまた然り、そこに利益は発生しないし、その方が望ましい。国家自体にそこまで拘らない時代が来るのでは。

ただ内容としては面白いし、参考になる。特に最先端のテクノロジーを勉強して、どこにポジションを張るか、プロフィットセンターとは別にコストセンターに投資していく方法は納得できました。