幽霊人命救助隊 (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル幽霊人命救助隊 (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者高野 和明
販売元文藝春秋
JANコード9784167717261
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » た行の著者

購入者の感想

友人に進められて読み始めました。
最初は話の設定に「これでいいのか??」とは思いましたが
読んでみると、なるほどこれでいいのだと思いました。

内容の重さに設定がごちゃごちゃすれば読み手の理解が遅くなってしまいますし
映像ではない小説は主人公の不自由さを伝えるのに手間取ってしまいますから設定は軽く、そして人に突っ込みを入れられるぐらいの方が解りやすいのだと思えました。

そして一番大きかった事が話の内容を含め神様が人をたいして助けない事です。
「49日で100人の自殺志願者を救え」なんだそれは!と抗議したくなる事を言う神様
せっかく与えた命を粗末にしおって、と呆れる神様
あぁ、この神様は親であり先生であり上司なのだと思いました。
助けてやりたいが自分自身の問題に私が首を突っ込むわけにも行かないが、かといってほおって置くわけにもいかないそんな中で"自分で見つけて来い"と後ろから4人の尻を叩いた。
そんなふうに思いました
親近感をもてる神様は私の神様像と近かったんです。

それぞれの死に方、時代は読んでいて飽きがきませんでした。20代の私には解らない言葉が飛び交う場面は笑えます。
時代の違いはこんなにも人の思考を変えるのかとも感心できます。
読み手を選んでしまうかもしれませんがぜひ読んで欲しい一冊です。

著者の「13階段」が好きで、本書も手に取りました。

…が、読み始めは、死語やくだらないジョークの連発で
正直、苦手な作品だと思いました。
しかし、読み進むにつれて、どんどん作品の世界に引き込まれました。

著者は、4人の登場人物の言葉を借りて、
いろいろな局面で、様々な問題で悩む人たちに対し、
「死ななくていいんだよ」「やり直せるんだよ」
「居るだけでいいんだよ」と、
時には具体的な解決策を示し、
時には自殺の恐ろしさ、割に合わなさを伝え、
ひたすらにエールを送り続けます。

そして、随所では、弱者が救われない社会や、
強者ばかりが肥える体制への批判も、
決して押し付けがましくなく
シリアスになりすぎずに主張しています。

根底に流れるのは、ひとりでも多くの
自殺志願者を救いたいという筆者の強い想いと
「一つ一つの命が、この世界を支えている」という、
人に対するあたたかい眼差しです。

最後のエピローグもまた気が利いています。

形としては長編小説なのですが、
たくさんのエピソードが詰め込まれ、
内容としては連作小説のようなイメージです。

個人的には、
「愛ちゃん」のお母さんの話、
指揮者を目指す少年の話、
空洞な自分を抱える若い女性の話、
そして100人目の救助対象者の話が
特に心に残りました。

いまいま自殺を考えている方は、
「本を読もう」という気持ちになれないかもしれません。
しかし、ひとりでも多くの方が本作を読み、
それをひとりでも多くの方に伝え、
結果として、自ら命を絶とうとする方が
ひとりでも減ってくれればと思わずにいられません。
非常によい作品です。

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