けものになること の感想

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参照データ

タイトルけものになること
発売日2017-02-25
製作者坂口恭平
販売元河出書房新社
JANコード9784309025476
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » さ行の著者

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購入者の感想

坂口恭平『けものになること』は、夢の世界の探究であった『現実宿り』の姉妹作のような小説です。

ちがいはどこにあるかというと、まずドゥルーズの『千のプラトー』10章をドゥルーズとなって書くという哲学的なフレーム、設定の縛りがあることで、ドゥルーズ=ガタリ的な用語や、言い回しを多用しながら、コピーライティングを行うわけです。しかし、わたし、われわれが変身してゆくプロセスの記述は、『現実宿り』同様の坂口恭平そのものの文章です。それらによってとらえようとするのは、現実とは異なる知覚による生成変化の世界です。自由にふるまえばふるまうほどに、フロイト的な家族の三角形ではなく、ガタリ的な分子的無意識の世界へと入ってゆくので、単に名前を借りるだけでなく、生産される言語もまたドゥルーズ=ガタリを裏切ることはないでしょう。

第二の違いは、オリジナルな夢と想像の世界であった『現実宿り』とは異なり、他の作品の力を次から次へと援用することです。ドゥルーズと坂口恭平がともに好むカフカや、プルースト、アルトーやケルアック、バロウズといった作家の読解、批評と、そこからの飛躍的創造が多くの部分を占めています。もちろん、ドゥルーズが知らないような南方熊楠、宮武外骨、宮沢賢治といった固有名詞も援用され、混然一体となって『けものになること』のテキストを形作ってゆくのです。『けものになること』は、リゾーム的に、他の作家たちの作品や伝記への言及、批評、創作という接ぎ木によってつくられていることが大きな特徴です。

第三の違いは、この本の読み方自体がすでに本の中で示されていることです。一種の読む麻薬としての書物がそれです。道に迷いそうになった時には、それらが地図として役立ちます。つい連想しがちなシュルレアリスムの自動筆記に対しても否定的な態度を語り手はとっています。

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