『中島敦作品集・31作品⇒1冊』 の感想

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中学・高校では、誰しも必ずと言っていいほどに触れる機会がある、中島 敦 作品。
その出会いは 『 山月記 』・『 名人伝 』・『 李陵 』 でしょうか?
若くして世を去った 氏 の決して多くはない作品ではありますが、そのほとんどを手軽にどこにおいても読めることはこの上のない幸せではないでしょうか。
日本百名山 で有名な、深田久弥 氏 と親交があったことや、横浜市磯子区の 現 横浜学園高等学校 の教師をしていたこともあったということなど、学校で習った以降に様々なことを知ったりして、さらに興味を惹かれていった思い出もあります。
漢学の造詣が深く、『 悟浄歎異 』 など、西遊記 がその背景となっていたりして 西遊記 そのものを読み直すきっかけにもなりますし、前述の三作品の他に 中島 敦 … 導入作品としてとても適しているように思います。現代の若者にも、簡単に入り込んでいけるタッチの文章ではないでしょうか ? 現代人の誰しもが持つ、ある種の羞恥心や悶々とした思いなどを明解に表しているところは、秀逸な作品と言えるのではないでしょうか ?
娘が高校に入る前、学校見学で色々な高校の授業風景を参観させていただいたときにも、山月記 らしき授業であろう板書書きを見て、ちょっぴりうれしい気持ちになった思い出もあります。
是非とも若いうちに、中島 敦 さんの作品に触れていただきたいと思いますし、年齢を重ねてから読み直しますと、また違った感想も湧き出してきますでしょう。その昔は、全く興味がなかった方で、初めて触れるのであっても、それはそれでいいと思います。

ただ、文庫と違って巻末の 解説・評論・評伝 がないのは、この手の媒体においては仕方ないのでしょうか ?
それでも、☆×5 以上だと思います。