さざなみ(字幕版) の感想

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仲睦まじく暮らしていた老夫婦に一通の手紙が来る。
それがクラック（裂け目）となっていく物語。

奥さんは結婚45周年のパーティのために会場を借り、思い出の音楽をリストアップし、
招待する人を選びと、自分達二人の45年間を再現しようとしている。
夫はいつもの仲間に飽き飽きして悪口をいったり、寄り合いに参加したがらなかったり。奥さんに言われて、
パーティだけは必ず出ると約束するが、義務感から言っているようなニュアンス。
その夫が、45年を飛び越え、結婚前の元恋人の面影を追う。
夜中にベッドから抜け出し、埃だらけの屋根裏部屋に登っていく。
スイスへ行くために旅行代理店に赴く。
美人だった奥さんが、今は老いているのが哀しい。
映写機に残る元恋人は、普通の若い女性。
奥さんは怯えるように動揺する。

スイス製の腕時計。時を刻みつづけるそれを、奥さんはショーウィンドー越しに眺めている。
スイスの山で眠っている元恋人。夫は氷越しに眺める自分を思い描いている。

山小屋に泊まる為の嘘だったとはいえ、今もスイスでは夫の妻は元恋人。
そして事故がなかったら、元恋人と結婚していたと断言する夫。
いや、ここは
「事故は自分の人生の中で最も不幸な出来事だったが、今、君という伴侶を得られた最も幸運なことだったかもしれない」
ぐらい言えよ。天然なのか、脳天気なのか。
静かでゆっくりした映画ですが、なんともきつい余韻が残ります。