「けんぽう」のおはなし の感想
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参照データ
タイトル | 「けんぽう」のおはなし |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 武田 美穂 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062168670 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 直木賞 » 51-75回 |
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購入者の感想
井上ひさしさんが小学校高学年に数度にわたり話したことをもとに構成された絵本。
井上さんがいわば「歩く戦後民主主義」であることが良く伝わってきます。ぼくが小学校四年から六年の時の担任、春子先生から聞いたことともかなり重なります。
少年時代に戦争があって、鍋の蓋で頭を押さえられているような感じがずっとあったこと、アジアの二千万人のいのちを奪ったこと、戦争が終わり、暗い空が青空にぱーっと変わったこと。
戦争は恐ろしく悲しいことを起こすだけで、いいことなどないことを思い知り、日本人は憲法をつくったこと。そこには、国や社会のために人を犠牲にすることをやめて、「個人を尊重しよう」と決められていること。憲法は国や政府が守らなければならないきまりであること。
総理大臣や国会議員はべつにえらいのではなく、わたしたちの「かわりの人」であって、いやならしたがわなくてもいいこと。多数決がいつもあてにできるわけではないこと。
戦争と武器を棄てる日本が国を守るためには、世界の苦しんでいる人たちの役立つことをして、信頼され、認められ、大切に思ってもらうこと。
あとがきでは、大江健三郎さんが、子どもの時から出会った人の中で、井上さんが一番楽しい話し手のひとりだったことを述べています。この本の登場者や読者である子どもたちにとってもそうでしょう。同時に、井上さん、大江さんらに導かれた「九条の会」が日本の良心的知性の象徴であり、その知性が認める日本国憲法だということも思わされました。
井上さんがいわば「歩く戦後民主主義」であることが良く伝わってきます。ぼくが小学校四年から六年の時の担任、春子先生から聞いたことともかなり重なります。
少年時代に戦争があって、鍋の蓋で頭を押さえられているような感じがずっとあったこと、アジアの二千万人のいのちを奪ったこと、戦争が終わり、暗い空が青空にぱーっと変わったこと。
戦争は恐ろしく悲しいことを起こすだけで、いいことなどないことを思い知り、日本人は憲法をつくったこと。そこには、国や社会のために人を犠牲にすることをやめて、「個人を尊重しよう」と決められていること。憲法は国や政府が守らなければならないきまりであること。
総理大臣や国会議員はべつにえらいのではなく、わたしたちの「かわりの人」であって、いやならしたがわなくてもいいこと。多数決がいつもあてにできるわけではないこと。
戦争と武器を棄てる日本が国を守るためには、世界の苦しんでいる人たちの役立つことをして、信頼され、認められ、大切に思ってもらうこと。
あとがきでは、大江健三郎さんが、子どもの時から出会った人の中で、井上さんが一番楽しい話し手のひとりだったことを述べています。この本の登場者や読者である子どもたちにとってもそうでしょう。同時に、井上さん、大江さんらに導かれた「九条の会」が日本の良心的知性の象徴であり、その知性が認める日本国憲法だということも思わされました。