新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫) |
発売日 | 2015-08-25 |
製作者 | 森見 登美彦 |
販売元 | KADOKAWA/角川書店 |
JANコード | 9784041033692 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者 |
購入者の感想
「山月記」中の原作からの引用、というかアレンジが見事です。腐れ大学生が無意味に大学に居続ける描写が気に入っています。
「彼は留年と休学を巧みに使いこなし、およそ不可能と言われたモラトリアム延長の歴史的記録へ果敢に挑んだ。誰一人讃える者とてない孤独な行軍であり、如何にも万里孤軍来たるの感が深い。」
中島敦の愛読者であれば、出典が「李陵」であることは即座に分かります。原作では敵中深く単独行を強いられた主人公の窮状を描写した「如何にも万里孤軍来たるの感が深い。」という一説が大学生の怠惰な日常の描写に用いられており、中島敦の愛読者であればこの落差に思わず笑ってしまいます。そして森見氏がどれほど深く中島敦の作品に魅かれているかが読者に伝わってくる一節でもあります。
「彼は留年と休学を巧みに使いこなし、およそ不可能と言われたモラトリアム延長の歴史的記録へ果敢に挑んだ。誰一人讃える者とてない孤独な行軍であり、如何にも万里孤軍来たるの感が深い。」
中島敦の愛読者であれば、出典が「李陵」であることは即座に分かります。原作では敵中深く単独行を強いられた主人公の窮状を描写した「如何にも万里孤軍来たるの感が深い。」という一説が大学生の怠惰な日常の描写に用いられており、中島敦の愛読者であればこの落差に思わず笑ってしまいます。そして森見氏がどれほど深く中島敦の作品に魅かれているかが読者に伝わってくる一節でもあります。