14歳からの哲学 考えるための教科書 の感想

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タイトル14歳からの哲学 考えるための教科書
発売日販売日未定
製作者池田 晶子
販売元トランスビュー
JANコード9784901510141
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

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購入者の感想

考える、ということが人間として生きるということと同一であることを平易な文章で紡いであります。改めて池田晶子さんのこの本を読み返し、哲学が生きるということを豊かにするための作業であることを確認しました。

権威や枠を作る、あるいはそういったものを嫌がる、といった立場のいずれもが、権威や枠の存在を認めた上での行為であることを鋭く突いています。

本当に豊かになる本です。暑い夏に日除けの下で読むと一層西瓜が美味しくなりそうです。

☆☆☆☆☆『14歳からの哲学』(池田晶子)
今までにも数多くの『14歳からの◯◯◯』という本が出版されてきていて、その中の何冊かを読んできましたが、どの本もタイトルの『14歳からの◯◯◯』から感じとられる、先入観に反して、内容のしっかりしたものが多かったようです。(もう1冊のお勧めは『14歳からの社会学』)
50歳にして手にするには、恥ずかしいという思いもあって電車の中では、表紙を隠しながら読み始めたりしましたが、読み進めるうちにこのような本を読んでいることが誇らしくなってくるから不思議でした。
著者、出版社の狙いが、なんで、タイトルに『14歳からの◯◯◯』とつけるのかの推測はこの手のタイトルの本を買った人のひとつの楽しみとしてもってもらうとして、

第1部は、特に難しく感じました。それは自分が14歳になりきれていなかったからなのかなぁ、抽象的な問いかけが、異次元の空間を飛び交う言葉のような感覚で読んでいました。雲をつかむような感覚です。

でも、第2部は各論というか具体的な事象について範囲を狭めた、抽象論、観念論的な内容になってきたので、じっくりと読み込みました。この辺にくるまでに、だいぶ14歳の自分を取り戻せてきたという感覚もあったりしました。

各項目で、自分の勝手な思い込み、日常の思考の習慣が築き上げてきた世界を自分は生きてる、ということを教えられる内容になっているのですが、すべてに触れると時間がないので、特に印象の強かった箇所を抜粋して少し、コメントします。

〜〜社会という現実は、皆んなが内で思っているその観念の、外への現れだ。観念が現実を作っているのであって、決してその逆じゃない。
社会はそれぞれの人の内の観念以外のものではないのだから、それぞれの人がよくなる以外に、社会をよくする方法なんてあるわけがない。現実を作っているのは観念だ。観念が変わらなければ現実は変わらないんだ。社会のせいにできることなんか何があるだろうか。
世のすべては人々の観念が作り出しているもの、その意味では、すべては幻想と言っていい。このことを、しっかりと自覚できるようになろう。社会がそうなら、国家というものもそうだ。

この本を出発点に彼女の本を何冊も読んできましたが、「考える」ことを促す強さと巧みさにおいて、やはりこの本は抜きんでています。

14歳の中学生に語りかける文体で書かれてはいますが、内容はきわめて深い。「哲学用語」を使わず、一人の哲学者の名前も出さず、
誰もが知っている言葉で「わかること」と「わからないこと」の境界を、真剣勝負で明らかにしていこうとしています。

だからこの本は読者を選びます。本気で読んで考える人でないとついていけなくなってしまう本なのです。
タイトルのやわらかさに勘違いした人が、書き方が傲慢だのつまらないだの何を言ってるのかわからないだのと評していますが、それが養老氏の言うバカの壁なのでしょう。
曖昧さを許さず、確かなことは言い切る人だから曲解もされるのでしょうが、この本の語りかけは,
この本を手にとってページを開くであろう小さな魂たちに対する愛にあふれています。傲慢でもニヒリズムでもありません。

折りに触れてこの本のことを思い出し、読み返します。大切な所に線をひいたり、余白に思いついたことをメモしたり。
書かれていることは読み返すたびに新鮮です。前回(昨年)読み返したときは「言葉は自分の外にある」という言葉に痺れました。
今回は、「7 死をどう考えるか」を読み返し、いま思考の淵に落ち込んで、気が遠くなってしまいました。
私たちは、何も理解していない事柄について、思い込みや推測で語り続け、噛み合わない会話や議論をひたすら繰り返している・・・・

本当に、「こども向け」などという甘ちょろいものではありません。
平明ですが、池田晶子が生涯をかけて考え抜いてきたことばで書かれていますから、この本をどう生かすかは、
読み手がどこまで考え抜くかという一点にかかっています。
私にとっては、神の登場しない聖書です。

普段なんとなく流れるままに生きる自分を脱したくて、「自分の頭で考える」ということを意識し始め、哲学に興味を持ちました。

その中でも本書のレビューを読んで面白い印象を感じました。

否定的な考え、肯定的な考え、実に様々な意見がありますが、これらを見ていて人によって考えることは全然違うんだなと改めて思いました(考えることを意識的に考えている今だからこそ感じることですが)。

私は一時期速読を練習していて、「いかに速く本を読むか」を常に意識していました。しかし、読むことが目的になっていて、「その本から何を得たか」を意識することはありませんでした。たくさん本を読んだつもりになって、ふと振り返ってみると、ほとんど何もなかったのです。

本本来の目的を考えると、やはりゆっくりでもいいから読みながら、何かを感じ、その後の自分の人生に良い影響を受けるべきだと思います。
そのためには、考えながら読まなければなりません。そして考える前に、考えるとは何かを勉強することも悪くないと思います。
そういったことに気付かせてくれる本とレビューでした。

私の一意見としては、ただ「つまらなかった」と切り捨ててしまう人は、過去の私のように、「本から何を得たか」を意識できていない人ではないかと思っています。
同じ本でも何かを感じて自分の成長につなげられる人もいれば、一方でつまらないといって切り捨ててしまう人もいる。
私は常に前者でありたいです。0

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