伊藤計劃トリビュート (ハヤカワ文庫JA) の感想

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参照データ

タイトル伊藤計劃トリビュート (ハヤカワ文庫JA)
発売日販売日未定
製作者王城夕紀
販売元早川書房
JANコード9784150312015
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » SF・ホラー・ファンタジー

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購入者の感想

今75歳、ちょうど半世紀前、SFの可能な限りのあらゆる側面を理解し、愉しんだと思い、SFから遠ざかっていました。
70を超える国々で仕事をして、何万人を知った今、この本をきっかけに、SFに戻って、さらに深い楽しみ方を日々発見して行こうと思いました。あと20年はいけそうです。

夭折の「鬼才」、伊藤計劃が没して6年と少し。
昨年春にはフジテレビ・ノイタミナにて劇場アニメ化が告知され、
今年10月より『屍者の帝国』から順次公開予定の「Project Itoh」トリロジーを目前に
私の嗜好に甘やかす愉楽を存分に提供してくださる早川書房から有難きアンソロジーが刊行した。
一介の自己中読者として、ハヤカワSFマガジンの塩澤編集長にはこの場をお借りして深く御礼申し上げる。
…しかし、寄稿作家が8人いると言っても700頁超とは書店の文庫コーナーへバカ歩きした時は驚いた。
(掉尾を飾る長谷敏司氏の作品に至っては後書きにもあるように、長篇の第一章だという…)

『公正的戦闘規範』は2012年に「Gene Mapper」(2013年に増補完全版が刊行)で鮮烈なデビューを果たし、
「オービタル・クラウド」で第35回日本SF大賞を受賞。僅か3年足らずという期間で2010年代に於いて
破竹の勢いでSF作家としての地位を築き上げた藤井太洋が伊藤計劃流の諧謔とウィット満載でお送りする短篇。
上海にオフィスを置く、とある日系ゲーム開発企業のスタッフの一人が自身がもたらした影と対面する…
初っ端から濃縮された80頁の中に恐るべき筆力を感じた、流石は藤井氏。
「ORGAN」を通じて人の「殺意」が弾丸の行方を支配する…テクノロジーが変える人間社会の様相。
「何人殺したの?五人?十人?百人?それとも。食べたパンの数は覚えてられない口かしら」
スマートフォン用ゲームアプリとドローン技術の結託には、TVアニメ「PSYCHO-PASS 2」での一幕を思い出した。
調べると、伊藤計劃が没したゼロ年代の終わりを境にスマートフォン普及率は5年で25倍以上、
2012年から現在の市場規模にして5倍以上に上るという。
私の敬愛して止まないとある小説家が用いる比喩に「現実に肩を叩かれる」というものがある。
それを念頭に考えてみると、いやはや何とも末恐ろしいものを感じるのである…
この短篇はトリビュートというよりも独立した作品としても見事な出来栄え。

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