Access マクロ & VBA 開発工房 2013/2010/2007/2003/2002/2000 対応 の感想

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初心者向けではありません。Accessで本格的に作りたい人向けの本です。
従って、当然のことながらAccessの基本操作は知っているものとして書かれています。
少なくともサブフォームやサブレポートなどを使ったデータベースアプリケーションを
構築した経験がないと厳しいかもしれません。（入門用のテキストなどの手順に従って作った程度で可）
タイトルは「マクロ＆VBA」となっていますが、実質的にはVBAの本です。
マクロは最初の方に少しだけ出てくるだけで、中盤以降はひたすらVBAのコードを
入力することになります。（実習する場合）

VBAの文法は必要最低限のことしか触れられません。
また、基本的な概念（メソッド、コレクションなど）についての説明もほとんどありません。
このことから本書は一応VBAの基本から書かれているとはいえ、
実際にはエクセルなどでVBAにある程度なじみがあることが望ましいです。

出版社のサイトからダウンロードして得られるファイルを使って、
本書の指示に従いながらいくつかのアプリケーションを完成させていきます。
それを通じて開発の「技法」（主にVBAでなされますが）を学習するというのが本書です。
これは類書と同様の方法です。

説明は総じて丁寧で、特にレポート作成を解説した第6章は一読の価値があると思います。
コーディングの解説時にはいきなり完成形のコードを示すのではなく、
まず根幹となる大枠の説明を行い、然る後に「末節」部分の説明がなされます。
これにより読者は、「木を見て森を見ず」の状態になることが少なくなるでしょう。

難点はデータモデリングや要件定義など、「実装」に取り掛かる前に行うべき
「設計」部分の説明が不十分であることが挙げられます。ただ、これはすべての
データベースに通底する一般的事項であり、Accessという特定の製品を対象にした
書籍でその解説を求めるのは読者の傲慢であるともいえるかもしれません。
「設計」は本書とは別に学習する必要があると思います。