Factory Physics の感想

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工場の生産制御のための理論的な本である。工場の業種は問わない。工場の生産（物流）には物理法則にも似た諸法則がある、というのがこの本の立場で、題名はそこから由来している。その中にはリトルの法則のようなよく知られたものもあるが、それ以外のものもある。この本はソリューションを提供することについてはあきらめており、生産の現場管理にたずさわる者が、生産改善を検討する際に参考になる、ある種の常識（本の中では直感intuitionという言葉を用いている）をもってもらうことを目指している。内容は３部に分かれ、パート１が歴史の教訓で、MRPやJITなどの分析を含む。パート２がこの本の中核である、ファクトリ・フィジクス。パート３が実施における諸原理でプランニングからショップフロアコントロールに到るまでの枠組みと、その中における特定の問題にどのようにパート２の一般的な概念を適用することができるかを示している。

　小生の不勉強によるものなのかどうか分からないが、このような内容と質の本を私は日本の本で見たことがない。しかし、これはアメリカでは製造オペレーションやＩＥ（インダストリアル・エンジニアリング）の標準的な教科書なのだそうである。学生ではなく実務家にこそ読んで頂きたい。なんとか訳書が出版されないものだろうか？