世界経済危機は終わった の感想

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タイトル世界経済危機は終わった
発売日販売日未定
製作者竹森 俊平
販売元日本経済新聞出版社
JANコード9784532355982
カテゴリビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 各国経済事情 » 世界

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購入者の感想

リーマンショック以降の金融危機についての本、なのですが
軸になっているのは各国中央銀行トップに見られる故フランコ・モディリアーニMIT教授の人脈です。
この本でも触れられている「湖水学派」「海水学派」のように学派としてまとめて扱われることは珍しくありませんが
実務の世界で特定の学者に繋がる人脈というのは他の本ではあまり見た記憶がありません。
この点でなかなかユニークな本になっていると思います。

上記を軸に各国中央銀行の取った対策や、ケインズ以降の金融理論が主に説明されています。
一番印象深いのは各国ともベースマネーを膨張させているのにインフレ率がなかなか上がらない現在の状況について
ケインズ経済学では合理的に説明できるのにマネタリズムでは説明できないと言う指摘です。
本来理論は現実に合わせて構築されるはずですが、理論こそが正しくて現実が間違っているかのような主張はときどき見ます。
結局ケインズ以外の理論は現実に対する見落としがあったためにケインズの復権となっているのかなと思いました。

全体的に興味深い内容なのですが、寄り道的な部分が多く感じられ、やや散漫な印象を受ける部分があるのは残念なところです。

本書は、本のサイズといい内容といい、同じ日本経済新聞出版社から出ている竹森教授の『資本主義は嫌いですか』『中央銀行は闘う』の続編だと見るべきだろう。前書『中央銀行は闘う』は2010年6月の刊で、2008年9月ののリーマン・ショックに端を発した世界的な経済危機に対して欧米日の中央銀行(ECB、FRB、日銀)が取るべき金融政策について検討した好書だった。本書はその後日譚ということになる。

本書では、評者の知る限り他書では見かけない重要な着眼点が提示される。それは、欧米の中央銀行のトップを務める、又は務めていたイエレンFRB議長、ドラキECB総裁、キング・イングランド銀行総裁、バーナンキ前FRB議長、パパデモス前ギリシャ首相等が、いずれもマサチューセッツ工科大学(MIT)教授でノーベル経済学賞も受賞した故フランコ・モディリアーニ教授から直接又は間接に教えを受けた経済学者だということである。現在MIT人脈が、欧米の中央銀行で金融政策のかじ取りを担っているのである。
竹森教授は、MIT人脈を「海水学派」と呼び、故ミルトン・フリードマン氏を筆頭とするシカゴ大学などの「湖水学派」と対比する。
「海水学派」の特徴は経済に対する裁量的な経済政策の援護を重要だと考え、リスクに対して寛容だという。これに対し「湖水学派」は政府が経済に対して大きな役割を果たすことを否定し、リスクに対して不寛容だという。

そしてMIT人脈が今回の世界経済危機にどのように対処したか、彼らの金融政策が分析される。彼らはプラグマティックで、フレクシブル、アドホックで総合力が高い(竹森氏は彼らを「ガットパルティズム」(山猫主義)とも呼ぶ)。ケインズ主義に親和的だが、純粋なケインズ主義でもない。彼らの現実的でフレクシブル・アドホックな金融政策のお蔭で、世界経済が再生しつつあるのが現状だという。
その他本書では、海水学派と湖水学派の論争や、ドイツのナチス時代の頭脳流出が今日のドイツの超保守的な金融政策を招いている点、フリードマンの唱えたマネタリズムがなぜ今日の経済状況をうまく説明できないか等、随所に興味深い指摘がある。

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