国際紛争 原書第9版 -- 理論と歴史 の感想

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参照データ

タイトル国際紛争 原書第9版 -- 理論と歴史
発売日販売日未定
製作者ジョセフ・S.ナイ ジュニア
販売元有斐閣
JANコード9784641149052
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

良きにつけ悪しきにつけ、本書は教科書だと思った。多くを網羅してスマートに纏めているのはさすがだ。しかし残念ながら観念的で空虚だ。本書によって歴史の真実を勉強することはできない。なにしろー「1930年代に、日本は市場獲得の唯一の道は「大東亜共栄圏」の確立だと信じ、近隣諸国を征服して優先的に日本との貿易を強いた」p83ーといった記述を目にすると、オメエの国アメリカがそれを強いたんじゃねえか、といった突っ込みを入れたくなる。こんな教科書で勉強しているから、藤原帰一(東大政治学教授)のように「第二次世界大戦は、民主主義陣営とファシズムの戦いだった」といった呆けた発言をするのだろうと思った。

 国際政治学の最良の教科書と言ってよいだろう。共著者にウェルチが加わった第八版から、今まで弱かったコンストラクティビズムについての記述も補完されている。第九版になって新たに加わったのは、3.11をはじめとして、サイバー攻撃、アラブの春や中国の海洋進出などの最新のトピックである。もともとツキュディディスからはじまるリアリズムを核にして、そこに自らとR.コヘインが確立した(ネオ)リベラリズムをミックスするというバランスのよさが身上であった本書、新たな世界観を社会科学全体に与えたと言ってよい構築主義の見解も紹介しているという意味では、これ以上の教科書はないと言っても過言ではない。ただ、構築主義(的政治学)についての説明がやや簡略に過ぎる嫌いがないとは言えないので、別の教科書(例えば土佐弘之氏のものなど)で補ったほうがいいかもしれない。
 私見では、高校生くらいにいちばん読ませたいレベルの本なのだが、大学生はもちろん社会人にとっても一読の価値ある良書である。筆者は改訂のたびに読み返している。

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