悪の力 (集英社新書) の感想

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参照データ

タイトル悪の力 (集英社新書)
発売日2015-09-17
製作者姜尚中
販売元集英社
JANコード9784087208030
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 人生論

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購入者の感想

姜さんのファンの一人です。ところどころ生の姜さんが現れているようで胸が痛みます。
しかし、それゆえか、生の姜さんの想いが強すぎ、内容の完成度は今一歩のように思われます。
以前の方の書評にもありましたが、部分についての納得感はあるのですが、全体を通してみると、
論理的なつながりが弱く、考えられているところが整理されての内容にはまだなっていないのではないかと思われました。
以下はいくつかの内容についての私の疑問・感想です。
1「わかりやすい悪から空疎な闇を抱える悪・・悪の枢軸・・システムや機構の悪」まで「悪」という概念でくくり整理されようとしていますが、それは果たして適切なのでしょうか。最後に「悪とは、一言でいうと、・・「空っぽ」の心の中に宿る病気です」とまとめられていますが、そのまとめは、姜さんの提起されている悪の一部の定義にはなると思いますが、全ての定義にはなっていないように思うからです。
2「悪」という概念でとらえると、身をおく視座により変わってきてしまうのではないか、また時間軸をいれると変わってきてしまうのではないか。というところがあります。例えば、アンジュンクンは一方では英雄であり、他方ではテロリスト(悪)になっています。また安倍首相も(私としては)悪と思えますが、他方では悪でないと考える方もいるだろうと思うのです。時間軸をいれるとさらに変わってくるのではないかと思えます。また、これらを「悪」とらえた時、「空っぽの心の中に宿る病気」としては理解が適切ではないように思えるのです。
3もっと卑近な例ですと、悪意でなく善意による所業が人を不幸に陥れること(結果として「悪」の現象を引き起こすこと)は様々にあるように思えるのです。
姜さんの今の状況が整理されて、次により深められた著作がでることを期待します。

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