変貌する民主主義 (ちくま新書) の感想

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タイトル変貌する民主主義 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者森 政稔
販売元筑摩書房
JANコード9784480064240
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

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購入者の感想

 1959年生まれの政治・社会思想史研究者が、小泉政権を意識しつつ、民主主義の問題そのものにまっすぐ到達することを目指して、また民主主義を核として、これまで別々に論じられてきた(それ自体としては目新しくはない)多様な個々の論点相互間の布置連関を明らかにしようとして、2008年に刊行した本。民主主義は、それが置かれているさまざまな社会関係の中で、初めてその意味が決まるという性格を持ち、1960〜80年代にそれを支える思想的前提のうち、かなりのものが入れ替わった。その契機となったのが、ニューレフトによる政治領域の拡大と、保守革命による新自由主義政策の採用であった。著者はこれ以降の現代民主主義の論点として、自由主義と民主主義の関係(公私区分や専門性の問題とも関わる)、多数者支配と少数意見の尊重に関する問題(アイデンティティの政治の意義と限界とも関わる)、ポピュリズム・ナショナリズムとの複雑な関係(戦争との関わりや、政治のゲーム化、中間集団の評価等に関わる)、主体性の変容や外部性の問題(シティズンシップの問題、ガヴァナンスの社会的拡散に伴う問題、多様なステイクホルダーへの配慮の必要、自己の不確実化に伴う問題等)を挙げ、民主主義の実態の分析よりは、社会変化に伴う基本概念の変化や、学説史の検討を通じて、これらの問題の複雑な現れ方と、それらのはらむ意義と問題点とを探ろうとする。本書では、全体の連関がやや見えにくい箇所があり、また著者自身が認める通り、具体的な対策が述べられているわけではないが、学説や論点の整理の仕方は鋭く、なかなか刺激的だった。一定の知識は必要とするが、民主主義について根底から考えるためにはお勧めの本である。
                      

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